パタハラは、起きないより起きたほうがいい

パタハラは、そうした分業ルールに反する男性への押さえ込みとも言えるでしょう。これは新しい価値観をもった男性が出始めているからこそ起きるのであって、その意味では起きないよりも起きたほうがいいと言えます。社会が進化していく上での、ひとつの過程と見ることができるからです。

男性はパタハラを受けたと感じたら、ぜひ社内窓口に相談してほしいと思います。波風を立てたくないという人も多いでしょうが、ここであえて立てていかないと、この先もずっと同じ状態が続いてしまいます。

そして、上司の反応を気にして育休取得をためらっているのなら、我が子が大人になったときも今の社会のままでいいのかどうか、考えてみてください。育休は小さな一歩ではありますが、次の世代のための重要な一歩になりえます。性別役割分業のない、誰もが望む形で働き暮らせる社会を、子どもたちに渡せたらと思います。

構成=辻村洋子

田中 俊之(たなか・としゆき)
大妻女子大学人間関係学部准教授、プレジデント総合研究所派遣講師

1975年、東京都生まれ。博士(社会学)。2022年より現職。男性だからこそ抱える問題に着目した「男性学」研究の第一人者として各メディアで活躍するほか、行政機関などにおいて男女共同参画社会の推進に取り組む。近著に、『男子が10代のうちに考えておきたいこと』(岩波書店)など。