Q. 新型コロナワクチンでウイルスの遺伝子情報を人体に投与すると、将来、体への影響や生まれる子どもへの影響はありませんか?
A. 新型コロナウイルスの遺伝子情報を使ってヒトの体内でウイルスたんぱく質を作らせるタイプのワクチンとしては、先行して実用化されたmRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンのほか、「DNAワクチン」(日本の企業が開発中)などがあります。いずれのワクチンも、接種したウイルスの遺伝子情報がヒトの細胞内の遺伝子に組み込まれることはなく、接種を受けた人の将来の健康や、新しく生まれてくる子どもに影響はないと考えられています。
Q. 新型コロナワクチンを打つと不妊になりませんか?
A. 新型コロナワクチンの接種が不妊につながったことを示す科学的な根拠はこれまでのところありません(2021年3月現在)。mRNAワクチンもウイルスベクターワクチンも生きた病原ウイルスを含んではいないため、不妊や流産、死産、先天異常のリスクを高めることはないと考えられています。また、ワクチンを接種するにあたり、妊活や不妊治療を延期する必要はありません。
Q. 新型コロナワクチンのうち、妊婦に対する安全性がもっとも高いのはどれですか?
A. 日本で承認済み、あるいは近く承認が見込まれる3種のワクチンともに、妊婦を対象にした臨床試験の結果はまだ出ておらず、どのワクチンがもっとも安全かはわかりません。しかし米国生殖医学会は、新型コロナワクチンの接種のために妊活や不妊治療を遅らせる必要はないとしています。
男女ともに、妊活中であっても新型コロナワクチンを接種することができます。妊娠中に新型コロナを発症した場合、重症化リスクが高い可能性が指摘されているので、可能であれば妊娠前にワクチンを接種しましょう。
Q. 新型コロナワクチンにはマイクロチップが入っていると聞きましたが、本当ですか?
A. 新型コロナワクチンにマイクロチップは含まれていません。一時、企業が新型コロナワクチンにマイクロチップを潜ませて、ワクチン接種を受けた人々からデータ収集しようとしているのではないかとの陰謀論が話題になりましたが、そのような事実はありません。
Q. 新型コロナワクチンを打って副反応が起きた場合、国の補償はありますか?
A. 厚生労働省によると、一般的にワクチン接種では、副反応による健康被害(病気になったり障害が残ったりすること)が、極めてまれではあるものの避けることができないことから、救済制度が設けられています。救済制度では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったりした場合に、予防接種法などに基づく救済(医療費・障害年金などの給付)が受けられます。新型コロナワクチンの接種についても、健康被害が生じた場合には、予防接種法などに基づく救済を受けることができます。救済制度の詳しい内容については、厚生労働省のホームページなどを参照してください。
日米で新型コロナ感染症の治療やワクチン接種に当たっている日本人医師ら10人。新型コロナワクチンに関する一般市民の不安や疑問を解決するため、SNSを通じて情報提供を行うプロジェクト「コロワくんの相談室」を手がける。代表を務める米国内科専門医の山田悠史氏は、慶應義塾大学医学部を卒業後、日本各地の病院の総合診療科に勤務。2015年からは米国ニューヨークのマウントサイナイ大学関連病院の内科に勤務しつつ、国内では全国の総合内科医の教育団体JHospitalist Network世話人やニュースメディアNewsPicksの公式コメンテーター(プロピッカー)等として活躍中。