ウィズ・コロナでも腹は減る

飲食業界を襲った不況の問題において忘れてはいけないのは、新型コロナウイルス蔓延下だからといって人間の胃袋の数が減るわけではないということだ。ビフォー・コロナの時代もウィズ・コロナの時代であっても、人間の胃袋の数は同じ。みんな同じように、腹も減る。

窮地にあることは事実だが、食の市場がゼロになるわけではない。外食をしていたのが、自宅での食事に移行しただけである。そして、ここに「不」が発生した。日頃外食をしていた人が、自宅でしか食事をしなくなれば、必ずストレスが溜まったり不便が生じたりと「不」を感じるようになる。だからこそ、たくさんの「おうちごはんビジネス」が生まれたのである。これは、外食産業の新たな進化、ともいえる。

食品をオンラインで注文
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オンラインあるあるから生まれる「新ビジネス」

他にも挙げればキリがない。たとえば、コロナ禍となり、ミーティングの多くがオンラインとなった。そして「オンラインあるある」として、移動時間を考慮する必要がなくなったことによる休憩ナシの打ち合わせマラソン状態となった。これは一見、効率的に仕事ができるようになり不便がなくなったかのように見えるが、心身の疲労の観点から見るとそうではなかった。

これまでの生活が変われば、さまざまなしわ寄せが出てくるもの。実際に新型コロナが感染拡大してすぐのタイミングで僕の身に何が起きたかというと、急激に腰痛が悪化したのだ。対面で打ち合わせをしていた時は、複数の企業を訪問し、一日平均1万4000歩ほど歩いていた。それが、自宅で仕事をする生活になってから、一日せいぜい500歩ほどに落ち込んだ。毎日の習慣が崩れることにより、明らかに健康状態に「不」をきたしたのだった。

僕と同じようなビジネスパーソンが続出し、たくさんの「自宅トレーニングビジネス」が生まれたのである。これは、健康産業の新たな進化ともいえる。