想像とは違うところで相手の心が動いている

人の心を動かすのが難しいと感じるのは、あなたの人間力やスキルが低いからではありません。努力していないからでもありません。「いつ、どんなふうに人の心が動くのか」に関する情報が足りないからなのです。人の心がどう動くのかに詳しくなるほど、報われないことは減っていき、自分の希望が叶うことが増えていきます。

高橋浩一『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)
高橋浩一『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)

もし、あなたが誰かから「迷った末にOK」をもらえたできごとがあったら、それは大チャンスです。迷った上であなたにOKを出したということは、心が動いた場面について、強い記憶や印象が残っているはずだからです。

相手にこんなふうに聞いてみましょう。

「(途中、迷うこともあったと思いますが)心が動いた瞬間はどのタイミングですか?」

「タイミングを聞く」というのは、変わった質問に思えるかもしれません。多くの人は、相手に対して「理由」を尋ねます。

「なぜ選んでくれたのですか」「なぜ選ばれなかったのですか」といった質問です。ただ、理由を聞かれたとき、多くの人は感覚的に答えがちです。

「ピンときたから」「何かよさそうだったから」。こういった言葉では、実際のところ何が心を動かしたのかがつかめません。次は何に対して頑張ったらいいのかがあいまいなままですよね。

「場面」や「タイミング」も聞いてみる

「理由」を聞いて、そこでなんとなくわかったつもりになってしまってはいけません。

私がお勧めするのは、理由だけでなく、「場面」や「タイミング」を聞くことです。場面やタイミングまで踏みこんで聞くと、客観的な情報が得られます。それによって、次の行動につながるヒントが得られます。

例えば、採用するかどうかを迷う会社が面接で採用してくれたのであれば、「心が動いた瞬間はどのタイミングですか?」という質問に対して、「実は面接終わり際のあいさつがとても好印象で、心が動いた」と返ってくるかもしれません。あなたが「自己PRが響いたのでは」と思っていたとしたら、予想と違うところで相手の心が動いていたことになります。

また、結婚を承諾するかどうかを悩んだ末、相手が受け入れてくれた場合、同様に聞いてみたら、「実は食事の際のふとした会話で、心が動いていた」ということもあります。サプライズのプロポーズにグッときたと思っていたのに、決定的瞬間はそこだったのか……という気づきがあります。

相手の心がどう動いたのかは、聞いてみないとわからないのです。実際に確かめてみると、多くの場合、自分の想像と違うところで心が動いていることがわかってきます。

高橋 浩一(たかはし・こういち)
TORiX株式会社 代表取締役CEO

東京大学経済学部卒。ジェミニコンサルティング(現ブーズ・アンド・カンパニー)で勤務した後、アルーを創業、取締役及び副社長として組織マネジメントに従事。2011年にTORiXを設立して代表取締役に就任。著書に『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)、『なぜか声がかかる人の習慣』『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。