「強いプレッシャーとの戦い」は人生を苦しめる

先ほど成長という話をしましたが、私の場合、さすがにもう試験は受けません。でも、新しい企画を提案したりすることは多々あります。これは試験みたいなものです。そのたび、採用されるかどうかドキドキします。どんな反応がくるか心配なのです。

それがプレッシャーになるなら、やめておけばいいようなものですが、成長したいのでついチャレンジしてしまいます。自分から進んでオーディションを受けるようなものです。そう考えると、プレッシャーを感じる人というのは、きっと目標が高く、成長に対する欲求が強いのでしょう。

成長に対する欲求が強い。それ自体はいいことなのですが、問題はそのせいで人生がプレッシャーとの戦いの日々になってしまうことです。本来楽しいはずの人生が、とても苦しいものになってしまうのです。

だからといって、目標を下げたり、成長をあきらめたりはしたくはない。誰だってそうではないでしょうか? 高い目標を掲げたり、成長欲求を抱きつつも、もう少し楽に生きる方法はないものか。

そこでいくつかの哲学を概観しながら、その可能性を探ってみたいと思います。

プレッシャーを受け止め覚悟を決める

難易度が低い順に紹介していきたいと思います。まずはドイツの哲学者ニーチェの超人思想です。

ニーチェはプレッシャーについて論じたわけではありませんが、彼の超人思想はいわば開き直りの思想なので、役に立つように思うのです。

ニーチェはいいます。「人生は同じ苦しみの繰り返しだ」と。それは逃げても逃げても追いかけてくる悪夢のようなものです。だとすれば、その悪夢から逃れる方法はただ一つです。逆説的ですが、いっそ受け止めてしまうことです。

もちろんそんなことができるのは、意志の強い超人のような人だけでしょう。だから「超人思想」と呼ぶのです。

プレッシャーも同じです。「ええい、こうなったらやってやる!」と思いきらない限り、緊張は消えてくれません。覚悟を決めるということです。

ただ、これだとプレッシャーがなくなるわけではないので、かなり気負い続ける必要があるかもしれません。そこで、イギリスの哲学者バートランド・ラッセルの宇宙思考はいかがでしょうか。