「土日祝日に一斉に休む」を見直すべきときにきている

そしてこの際、大勢が「国の定めた国民の休日」に従って一斉に休みを取り、レミングよろしく大移動するという「半ば常態化した異常事態」を見直すべきです。

こう書くと、「学校の授業形態を変えないと無理」「子どもの休みに親が合わせないといけないことを忘れているのでは?」という声があがります。前回の記事「医師が提言、「土日祝日の廃止」がコロナ対策と働き方改革につながる最強策である」にも、そうした反響が寄せられました。

しかし、ちょっと立ち止まってみてください。本当にそうでしょうか。「今日は家族で過ごすので、学校を休ませます」「お母さんが会社を休むので休みます」では、なぜダメなのでしょうか?

先日、NHKのネットニュースで見つけたのですが、青森市と八戸市、弘前市の公立中学校では、今年度は「休まず頑張った」を表彰する皆勤賞を取りやめることにしたそうです。無理な登校による感染拡大を防ぐことがその理由で、NHKの取材によると、表彰を取りやめた学校の校長は「皆勤賞のために無理に登校して体調を崩したり、ほかの生徒に感染させるのを避けるため『生徒には申し訳ないと思いながらも』表彰を取りやめた」とコメントしています。

その一方で、表彰を続ける方針をとった学校の校長は「3年間休まないということは簡単ではないし、その努力を認めてあげたい。皆勤賞があることで、規則正しい生活を送るなど健康管理につながることも期待できる」と話しています。

かしわ餅
写真=iStock.com/yasuhiroamano
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「休まない努力」を讃える考えの根本にあるもの

後者の皆勤賞を賞賛する言葉には一理ありそうですが、この「休まない努力」を讃える考えの根本には、「休むことは悪である、サボりは、生産性を下げる行為である」という兵器の増産体制を支えるために“産業戦士”に「無欠勤」を奨励してきた戦時中の価値観がこびりついているように思えます。

物心がついた頃からこうした価値観を刷り込まれて育つと、「カゼでも絶対に休めない人へ」「24時間、戦えますか」といったキャッチコピーに煽られ、感染症に罹っても、発熱しても、出社しようとする大人に成長してしまうのではないでしょうか。

常々、取り上げている通り、季節性インフルエンザなど感染症の「陽性」「陰性」判定はグレーゾーンが広く、皆勤賞のために提出が求められる「陰性証明」は、必ずしも感染していないことを保証しません。会社員の場合は「検査が陰性なら、発熱していても会社に行ける(あるいは、無理をしてでも来い!)」が問題になりますが、子どもの場合は「陰性なのに休んでしまったら、皆勤賞が取れなくなってしまう」と親子でしょんぼりされてしまい、私たち医者もなにか悪いことをしたかのような気になってしまいます。