問題意識がない同世代からは冷ややかな目線
【末石】あります。ジェンダーに関心のない子と話していると、こっちが勝手に騒いで盛り上がってる感じになっちゃいますね。「何ヒートアップしてんの」って冷ややかな目を感じるというか……。私からしたら、自分が生きている社会のことなのに、自分ごと化して考えられない人のほうが不思議。これからこの社会で、みんな一市民として生きていくのに。ただ、私もこの分野について勉強していなかったら差別も気にならなかったし、こんなことも感じなかったと思います。
【原田】同世代でも、関心がある子とない子でかなり温度差があるわけだ。末石さんと鈴木さん以外は、差別や不平等を感じたことはあまりないわけだよね?
【坂本】私が「ない」って答えたのは、同世代からはされたことがないからです。でも差別って、上の世代の人はしますよね。私には弟がいて、私自身は私立文系の大学に通っているんですが、お母さんから「弟はそれじゃ足りない、男の子は学歴がもっとあったほうがいい」って言われたことがあって。その考え方ヤバイなと思って「何言ってんの」って言い返したことがあります。塾の先生からも「女性は大学を出てもすぐ仕事辞めちゃうから」って言われたことがあります。
同世代にも差別はある
【原田】そうすると、社会や職場ももちろん問題なのだけど、親という身近な大人の価値観の問題も根深い、ということですね。親の意識改革も重要なポイントかもしれません。また、その親に影響を受けた若者自身の中にも、その価値観を引き継いでいる人たちが結構いる、ということなんでしょうかね。坂本さんはそうはならなかったけれども。
【坂本】そうですね。同年代の友達でも専業主婦になりたいとか、親の志向にもろに影響を受けている子はいます。あと田中さんの話で思い出したんですが、サークルの代表に「代表」と「女代表」っていう呼び方があるんですよね。なぜ男子には「男代表」ってつけないのかな。そう考えると、同世代には差別はないって言い切れない気がしてきました。
【原田】Z世代の間でも、薄れてきてはいるものの、こうして皆で議論してみると、まだ問題はあるってことですね。
【田中】早稲田のとあるサークルは、去年の幹事長が女性だったんです。やっぱり「女性幹事長だ!」っていう騒がれ方はしましたね。ただ、本人もSNSで「男は分かってない」「男は仕事が雑」みたいなフェミ寄りの発言をすることが多くて。リーダーだったら、スタッフを男女じゃなくて一人の人間として見るべきじゃないかなと思ったりしました。女子たちも応援するよりちょっと引いちゃってて、そうした発言には、男子だけじゃなくて女子も抵抗感があるのかなって思いました。
【原田】Z世代の間でさえ「女性幹事長だ」って騒がれるんだね。その人もそんな言われ方をするから、つい強気な発言をしちゃって、周りから反感を買われたのかもしれない。女性が幹事長になっても騒がれない時代が、もうそろそろきても良いと思っていたのだけど、まだ先は長そうですね。