「業務日報」を強力な改善ツールへ
「業務日報は、提出すべきものとして習慣化していましたが、メンバーたちは大ざっぱな内容しか書いていませんでした。マネージャーにしても、提出されたかどうかの確認印を押しているだけのようなもので、書いてある内容をもとにしてコミュニケーションを取ろうとはしていないようでした。
そこで、せっかく業務日報が習慣化しているのだから、利用して日常管理のツールにしようと考えたのです。いわば、日常管理板の代わりです。
トヨタ時代、部下の班長たちが使っていた業務日報のフォーマットを改訂して、活用することにしました。
使い方としては、まず、各行員に1時間単位で1週間分のスケジュールを立ててもらいます。メンバーは、毎日、『計画どおり業務をこなせたのか。できなかった原因は何か。こなせなかったものは翌日以降、どう挽回するのか』を書いて、マネージャーに提出します。
それに対し、マネージャーは、ムダはどこにあるのかなど、アドバイスやフォローを行うようにしました」
段取りチェックとメンバーフォローで現れた効果
業務日報の活用により、次のような効果が現れてきました。
・行員一人ひとりの、日々計画的に業務をやり切る意識が向上した
・業務の負荷や進捗が「視える化」された
・マネージャーとメンバーのコミュニケーションが緊密になり、マネージャーが速やかにフォローできるようになった
なお、ここでやっているのは、次の3点です。
1 仕事の計画を立てる
2 毎日、仕事の振り返り(=チェック・計測)をする
3 毎日、マネージャーが現場に関与してコミュニケーションを取る
いずれもマネジメントとしてはさほど特別なこととはいえない、むしろ基本中の基本でしょう。
しかし、マネージャーがトヨタの日常管理の観点を持てるようになれば、図表1のような紙1枚だけで、一気に問題を解消し、成果を生むチームへと成長させていくことができます。