4.マッチング拠出かiDeCoを選べるようになる

勤務先によっては、企業型DCについて、従業員自身も掛金を出す「マッチング拠出」を導入しているところもあります。マッチング拠出では、企業の掛金と同額までを給与引き落としで拠出するもので、マッチング拠出ができるかどうかは、企業によって異なります。

現在は、マッチング拠出ができる企業ではiDeCoには加入不可、2022年10月施行の改正後は、マッチング拠出かiDeCo、どちらか一方を選択(併用は不可)となります。

マッチング拠出なら、資金の管理などにかかる手数料は会社負担というメリットがあるのに対し、iDeCoでは加入時、運用時にかかるコストが自己負担となります。またマッチング拠出では企業が金融機関を選び、その金融機関がそろえた中から運用する商品を選びますが、iDeCoでは、自身が自由に金融機関を選ぶことができ、利用したい商品があるか、使い勝手がいいかなどを比較検討することも可能です。

所得控除や運用益非課税のメリットは、マッチング拠出、iDeCoとも、同じです。

月額5000円からスタート可能

iDeCoは老後資金作りのための制度であり、60歳まで資金を引き出すことができません。キャリアアップのための自己投資や住宅購入、教育費、独立資金など、老後を迎えるまでにはさまざまな「お金がかかること」があります。そのため、iDeCoやマッチング拠出をすることには慎重になる人もいますが、60歳まで引き出せないことを、老後資金を確実に準備できる、というメリットと捉えるのもいいと思います。

月額5000円から始められるので、無理のない金額から始めて少しずつ増やしていくのもいいでしょう。また年に1度まで、掛金の額を変更することもできますから、資格取得にお金がかかる年は額を減らす、収入アップしたら掛金も増やす、といったことも可能です。

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。