じっとしていられない

一般的にも「ADHD=多動で落ち着きがない」というイメージを思い浮かべる方が多いようです。典型的なのは、「授業中、席にじっと座っていられず、歩き回る子」というイメージなのですが、そこまで目立つ多動はまれな例です。

子どもであっても、手足をモジモジさせたり、手遊びをしたり、視線がキョロキョロしたりするぐらいのことが多く、立ち上がって歩き回ることは多いとは言えません。

いつも椅子をガタガタさせているのは、多動の症状である可能性があります。

また大人になると一定程度、本人の努力で抑えることができるため、多動といっても貧乏ゆすり程度のことが多いです。例えば、いつも米粒や粘土を持ち歩いて、手で丸めている患者さんがいました。彼は、手の指を動かすことで、内面の落ち着きのなさを解消していたのです。

それでも、彼らがじっとしているのが苦手なのは確かです。

気が散りやすく、空想癖も

「気が散りやすい」のも、衝動性と関連しています。例えば、目の前にやらなければならない仕事があるのに、よそ見をしたり、別の仕事に気を取られたりしてしまいます。

また、空想癖もあります。特にADHDの子どもに多いのですが、授業を聞いているようで実は聞いておらず、頭に思い浮かぶイメージを楽しんでいます。

前述のさくらももこさんも、自らの空想癖について、「『うわの空』の詳細」において、次のように回想しています(『まる子だった』さくらももこ)。

「授業中、私はいつでも自己流に過ごしていた。先生の話もみんなの意見も何もきいていないのである。では何をしているのかといえば、雑誌の連載漫画のつづきを気にしていたり、自分の欲しいオモチャやペットの事を考えたり、(中略)ノートの隅にらくがきしたり、まァいろいろとやることはあったのである」