株価上昇の2つ目の理由

もう1つ、株価に影響しているのが、日本を含め、主要国が金融緩和と財政政策という2つのアクセルを踏んでいることです。日銀では、ETFの大量買入れを行っています。ETFとは、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などに値動きが連動する上場投資信託で、株式市場全体に投資するイメージです。巨額な資金が投資されると、相場が押し上げられます。

また世界の多くの国で金利が0%台(米国は1%台)に抑えられており、預金しても、債券を買ってもお金が増えません。そのため、多くの資金が株式市場に流入し、株価が上昇します。

先が見えてきたこと、そして金融緩和と財政政策が、株価上昇につながるエンジンになっているのです。

市況情報をみて足を止めた若い男性
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今後注視すべき、株価のマイナス材料

日経平均は今年中に3万円を回復し、多少の調整(上げ下げ)をしながら、1~2年は堅調に推移すると見ています。

株価にマイナスに働く材料は、皮肉なようですが、経済の正常化です。経済が正常化すれば、金融緩和と財政政策という、2つのエンジンが終わってしまうからです。

想定以上に景気が良くなった場合には、金融緩和が終わり、金融引き締めに舵が切られます。実際に米国ではバイデン大統領がいずれ増税に舵を切ることを表明しており、実行されれば、一時的に消費が冷え込み、株価の下げ要因になります。

米国では金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)が年8回開催され、景況判断や政策金利の上げ下げなどが発表されます。その内容は世界の株式市場などに影響を与えますから、年8回のFOMCの会合や、日銀の金融政策決定会合には、注目したいところです。

また、中国も世界経済のけん引役であり、その景気動向も重要です。実際、中国で久しぶりにコロナによる死亡者が出た際には、日経平均が600円程度値下がりしています。

バブルが破裂する危険な兆候2つ

投資家の動向にも注目しましょう。現在の株価について、バブルなのでないのかと懸念する向きもあります。バブルは終わった時にバブルだったと気づく、とも言われますし、現段階で絶対に違うとは言い切れませんが、バブル時には、「ITバブル」など、特定の投資テーマがもてはやされ、ITに関連する銘柄ならどんな銘柄でも買われる、という現象が起きがちです。そうした状況が生まれてきたり、借金してまで株を買う人が増えてきたりした時には注意が必要です。