市場が不安定な時期、投資で気をつけるべきことは何か。経済コラムニストの大江英樹さんは「最近、レバナスで大損してしまったという悲鳴がよく聞こえてきます。レバレッジ型投資信託の落とし穴をよく理解しておく必要があります」という――。
コンピュータ上の株式を取引
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レバナスで大損した人たちの悲鳴

最近、SNSなどでよく取り上げられているのが「レバナスで大損をしてしまった!」という話題です。みなさんの中にもこの「レバナス」という言葉を聞いたことがある人がいるかもしれません。この言葉はどういう意味かというとアメリカの株式市場のひとつであるナスダック(NASDAQ)の株価指数にレバレッジをかけて投資をするタイプの投資信託のことです。レバレッジというのは梃子てこという意味ですが、投資においては少ない金額で大きな成果が出るような仕組みのことを言います。

NASDAQ指数のような株価指数に投資をする場合、指数の値動きに2倍とか3倍といった一定の倍率(レバレッジ倍率)を掛けた値動きとの連動を目指します。NASDAQ指数にはNASDAQ100とNASDAQ総合指数がありますが、投資信託でよく使われる指数は主にNASDAQ100の方です。例えば指数が3%上がった場合は2倍であれば6%上昇しますので、より大きなリターンを得ることができますが、逆に下がる場合も2倍下がりますので、その損失はより大きくなります。

100万円が16万円になる悲劇

昨年は年間を通じて米国市場が大変好調でしたから、より儲けを大きくしたいということでレバレッジ型のファンドに人気が集まったわけですが、一旦逆方向に動き始めると損失も2倍、3倍となりますので損失は相当大きくなります。

今年に入って以降、米国株式市場は弱含みが続いており、特にハイテク関連が多いナスダックの下げが目立ちます。ニューヨークダウは年初から約13%の下落ですが、ナスダックは約28%下落しているからです。もし年初の高値でレバレッジ2倍のファンドを買っていると下落率は56%、3倍だと84%の下落ということになります。84%下落ということは100万円が16万円になってしまっているわけですから、レバナスを買った人の悲鳴が聞こえてくるというのもよくわかります。