リスクは高いが、絶対買ってはいけないわけではない

この数年は米国株式市場、中でもナスダックは非常に好調でしたから、レバレッジ型投信で大きな利益を挙げた投資家も多かったと思いますが、歯車が逆回転してしまうとたちまち大きな損失が出るので、レバレッジ型投信というのは非常にリスクの高いものであることは十分承知しておく必要があります。

ただ、レバレッジ型投信は絶対買ってはいけないのかと言えば、そういうわけではありません。使い方によっては有効な場合もあります。株式投資の場合でも信用取引というやり方があります。信用取引とは、一定の保証金を証券会社に担保として預けることで、証券会社から資金を借りて株を買う取引です(逆に株券を借りて売る取引もあります)。この場合は自己資金の何倍もの株を買うことができますので、これもレバレッジを効かせた取引と言っていいでしょう。

あくまで短期取引と割り切って

では一体どんな場合にレバレッジ型投信や信用取引を利用するのが良いかということですが、それは「どう考えても大きく下がり過ぎていると考えるので、ごく短期間の間に株価が戻ることを予想して利益を取りに行こう」と考えた場合です。

例えば2020年の始め頃、コロナ禍が拡大することで2月から3月にかけての1カ月という短期間の間に株価は3割以上下落しました。あの下がった時にレバレッジ取引をおこなっていれば、ごく短期間のうちに大きな利益を挙げることができました。もちろんその場合はかなりリスクを取ることを覚悟しないといけなかったわけですが、リスクとリターンは常に表裏一体です。大きなリスクを取ったからこそ高いリターンを得ることができたとも言えます。

いずれにしてもレバレッジ型投信に投資するのであれば、あくまでも短期取引と割り切っておこなうことが大切です。「下がっても持っていればその内上がる」ということは考えない方が良いでしょう。決して長期保有には適さないものですから、まちがっても「NISAで5年間持っておこう」などとは考えない方が良いと思います。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。