少数派の「女性理事」が目立つ構造

それは均等法世代の話だけではない。2000年前後入社の氷河期世代の女性社員についても言えることである。当時は一般職を廃止し、派遣社員にシフトを始めた時期であり、新卒採用の総合職では現在のように男女比を等しく採用する考えがなかったため、女性の採用は最小限に抑制された。ゆえに氷河期世代で入社した女性社員は入り口の段階から厳しい選抜がなされため、この層もまた優秀であり、狭き門を突破し入社した苦労と誇りから就業継続への意識も強く、タフな女性管理職(管理職候補者)が多いと考えられる。

つまり、現段階では、日本の企業の女性リーダーはまだまれな存在であるだけでなく、突出して優秀であったり、何かしらの能力に秀でていることから企業内で「バイネームで呼ばれる存在」であることが多くあるのである。今回の森氏の会議において、女性理事はまだ少数派であり、彼女たちの発言や存在が極めて目立ったものとも考えられ、これは残念ながら近年の日本企業の現状を反映しているとも言えるのだ。

優良企業は「意識を変えないオジサン」を野放しにしない

しかし現在、女性活躍の優良企業は、こうした偏った意識の「オジサン」たちを野放しにはしていない。彼らの意識改革に全力で取り組んでいる。先日、インタビュー調査を終えた後の私の印象は「大企業がついに女性活躍に向けて本気を出した」「大企業が本気になるとここまでできるのか」というものだった。

まず、オジサンに向けた「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」研修は、ほとんど何処の企業でも行っている。また、かつて男性中心企業だったキリンホールディングスでは、入社3年目の女性社員の研修に、上司も一緒に参加させることで上司が背中を押すことの大切さを学ぶ機会にしている。

そうした中でもオジサンへの取り組みが「本気」であると感じた企業が明治安田生命である。同社は生保レディに代表されるように、元々女性社員が多い企業(約9割が女性)であるにもかかわらず、依然として管理職は男性が多くを占める状況が続いていた(2019年度男性管理職比率75.6%)。

しかし「女性の活躍無くして社の発展はない」との考えから、現在は男性管理職へ意識改革を徹底している。近年「イクボス」(部下の育児参加に理解のある上司)を表彰する企業は増えているが、明治安田生命での「イクボス」への取組みの特徴は、その徹底ぶりにある。