出向先でキャリアが明確化することも

あるいは出向先での仕事の経験を通じて進むべきキャリアが明確になるかもしれない。その場合の選択肢は①出向先に転籍(就職)する、②他の接客・サービス業に転職する、③出向元の職務(例えば客室乗務員という仕事)を続ける――という3つだろう。

航空会社の接客サービス能力は他の業界に比べても一流と言われる。マナー教育も含めた入社後の徹底した教育には定評があるだけではなく、とくにCAなどを目指す人は大学時代から英語教育をはじめとして鍛えられてきた人が多い。CAのOGの中には接遇やマナー教育の研修講師として活躍している人も少なくない。

ANA、JALの採用見送りでCA志望の学生は…

接客サービスに関連する企業にとっては喉から手が出るほどほしい人材でもある。実はANAやJALは2021年卒の採用を見送ったが、毎年両社を含めて航空業界やホテル業界に多数の学生を送り出している大学がある。今年は採用中止で多くの学生が涙を飲んだが、この大学のキャリアセンターはサービス業への就職を勧め、内定を得たという。大学のキャリアセンターの担当者はこう語る。

「外国語学部や観光系学部の学生の中には入学時点でCAを目指している人もいる。今年は応募すらできなかったが、大学としては社会を経験させることが大事であると考えている。例えばCAを目指している学生には『結構中途採用もあるよ。培った語学力やホスピタリティを発揮できる企業に一回就職し、中途採用が出たときに再チャレンジしてはどうか』とアドバイスした。ホスピタリティは顧客と接する機会の多いサービス業でも生かせる」

実際に方向転換した学生たちは不況下にもかかわらず、ドラッグストアやスーパーなどの小売り・流通業をはじめとするサービス業からは引く手あまただったという。