在宅勤務、待機中にキャリア観に変化
加えて緊急事態宣言以降の在宅勤務や2カ月以上の休業期間中に改めて自分のキャリアを見つめ直し、会社の将来について考える社員も多かったのではないか。パソナ総合研究所の「コロナ後の働き方に関する調査」(12月1日発表)によると、在宅勤務を行った結果、「仕事以外の生活の重要性をより意識するようになった」と回答した人が46.1%と約半数に上る。
また、「今回の在宅勤務をきっかけに、職業選択や副業等への希望は変わりましたか」という質問に対して「近い将来の転職を検討し始めた」人が16.6%、「希望する職務や就業先が変化した」人が9.5%もいる。転職を検討し始めた人は20代が30%を超えている。
また「転職を検討し始めた・希望する職務や就業先が変化した」人に職務や転職についての考え方が変わった理由を尋ねると「在宅勤務を機にワークライフバランスを変えたくなった」が最も多く42.9%、次いで「在宅勤務を機に現在の職務や会社の将来に疑問が生まれた」が29.0%となっている。
さらにコロナ禍で実施されたエン・ジャパンの「ミドル世代の『転職意向』実態調査」(7月17日発表)では、「転職を考えている」人が97%もいるが、その理由のトップが「仕事の幅を広げたいから」(35%)、次いで「会社の将来に不安を感じるから」(33%)を挙げている。
航空需要が元に戻るには2024年までかかる
在宅勤務中に自分のキャリアに対する考え方が変化し、コロナ禍の業界や会社の状態を見て、将来に不安を感じて離職を意識するようになる。この心理的変化は長い休業期間を過ごしたANAやJALの社員も決して無縁ではないだろう。
両社ともに2021年3月期は赤字の見通しであり、国内外の航空事業の縮小を迫られている。社員もボーナスカットや給与の削減を強いられているが、航空需要が復活するまでは今の状態が続く可能性もある。ワクチンの普及しだいで変わるが、国際航空運送協会(IATA)は今年7月末の予測では世界の航空需要がコロナ前の水準に戻るには2024年になるとの見通しを示している。勤める会社の先行きが不透明な状況下で、自分の出処進退を決めかねている社員も多いだろう。