新型コロナウイルスまん延の背後で「米中冷戦はすでに始まっている」と奥山先生。地球全体を俯瞰ふかんし、世界各国の動向を分析する「地政学」から、ポストコロナの国際情勢について解説してもらった。
グローバル化の概念。会議室で実業家のグループ。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/metamorworks)

ナンバーワンのアメリカに挑むナンバー2の中国

そもそも国際情勢というのは、ずっと昔から猿山の状態なんです。基本的にパワーの強いボス猿が、山の一番上にいて、そこにナンバー2の若頭がかみついていきますが、いつも若頭が蹴落とされる。そういう状態が、ここ500年続いています。現在のナンバーワンのボス猿はアメリカ合衆国(以下アメリカ)です。「ヘゲモニー」とも言いますが、アメリカが覇権を握っている状態にあります。そこに若頭である中国が挑みかかっている状況です。

他国をコントロールする戦略に「バランス・オブ・パワー」という考え方があります。これは国際政治でよく見られる、ナンバーワンの国が、ナンバー3と同盟関係を結んで協力しながら挟み込んで、ナンバー2の国の力をそぐ動きです。ナンバー2の勢力を均一化し、抵抗を不可能にする点が、まさに猿山のボスとその他の猿の力関係をあらわしています。現在、このナンバー3にいるのが日本。アメリカと協力して、中国に対抗しようという立ち位置にいます。