家族が亡くなったのも中国からのウイルスのせい

そこで新型コロナウイルス感染症問題です。たしかにアメリカと中国は貿易戦争をしていますが、アメリカで暮らすアメリカ人にとっては、中国は「太平洋の向こう側にあるわけのわからない国」という意識でした。

ところがアメリカの新型コロナによる死亡者数は約18.3万人です(20年8月現在)。しかも、けっこう身近な人が亡くなっている。まさに中国から広がったウイルスのせいで、家族が死んじゃった、となると市民レベルでも、中国への印象が劇的に悪くなるわけです。

ですからアメリカ議会でも、中国に対して「厳しくいけ」という姿勢は、民主党も共和党もぶれていない。中国に対抗していくことは、議会で完全に一致しているわけです。逆に中国が、アメリカ国内をまとめ上げる役割を果たしていると言えます。

今はアメリカと中国が覇権をめぐって戦っていますが、この覇権争いというのは、実は昔から続いている「海の勢力」と「陸の勢力」の争いなのです。のちほど詳しく説明しますが、ここ500年ぐらいは海の勢力が勝ち続けているので、まだまだこれが続くことが予想されます。

私個人の希望的観測としては、ポストコロナの覇権国は、やはりアメリカであってほしいですね。今のアメリカは問題が山積みですが、それでも少なくともオープンなシステムでやってくれます。そこが中国とは大きく違う。

われわれとしては、システムをオープンにしてくれるほうが、自由にいろいろなことができる。ですからオープンでやってくれる限り、覇権国はアメリカでいいんじゃないかと思います。