しかしながら、実はSDGsはビジネスパーソンにこそ重要かつ実用的な取り組みだということをご存じでしたか? そう、この17の目標は地球に住む一個人としてだけではなく、経営者や管理職という立場として、将来会社が発展するための大きな羅針盤として活用することができるものなのです。

たとえば17の目標を、企業経営のTo Doリストのキーワード集として活用してみましょう。そうすると①世界的視野②文明的視野③未来志向という3つの軸が明確になって、今、会社にとって何が必要で、どう行動すればよいかということが自然と見えてきます。このリストを洗い出してみると、そこにはビジネスのヒントがたくさん隠れていることに気づくはずです。

また、SDGsはビジネスパーソンの共通言語ともいえます。会社や所属部署が違っていても、17の目標に照らし合わせるだけで議論がしやすく、建設的な話し合いができるというメリットもあります。

反対に今やSDGsを実践していない企業は、世界目線で見ると「遅れている」「意識が低い」と見られてしまいます。それは投資家からの支持が得られないだけでなく、この先当たり前のようにサステナブルやSDGsといった教育を受けてくる若者たちが、そのような企業を選ばなくなるという事態が起こることも示唆します。人材が集まらないというのは企業にとって致命的。上質なマンパワーを集めるという意味でも、SDGsの活用はもはや企業にとって絶対不可欠なのです。

ビジネスパーソンの新常識となったSDGs

私の経験から、SDGsはこれからはますますグローバル・メガトレンド化が進み、どこまで理解し活用できるかが重要になると予想しています。なぜなら株価水準やブランディング、先に挙げた人材確保などのすべてにおいて企業の発展に影響するのですから。つまりSDGsはただの参照事項ではなく、必須事項となることは確かなのです。

事実、15年には世界最大の機関投資家である日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、ESG投資の推進を明確化したことにはじまり、SDGs未来都市として政府により94自治体が選定されましたし、東京オリンピックの調達・運営のルールでもSDGsが明確に打ち出され、政府は「SDGs五輪」とまで言っています。

そう考えると、優秀な、もしくはメジャーな取引先を選ぼうとすればするほど、その企業はSDGsを実践している可能性があり、一方で自身の会社がまったくの手つかずともあれば……他社が使っている共通言語や羅針盤を持っていないも同然なわけですから、取引のうえでは自然と不利になるでしょう。とくにこれからはSDGsを活用しなければ、各方面から取り残されてしまう恐れもあるということなのです。