妊娠判定に胸を躍らせたのもつかの間、おなかの中で小さな命が消えてしまうことは実は珍しいことではありません。流産を経験すれば、その深い悲しみをもう二度と味わいたくないと思うのは当然。ただ、年齢が上がるほど流産率が高くなるのも現実です。流産はなぜ起こるのか、また治療が必要な「不育症」はどのように診断されるのか、産婦人科医の月花瑶子さんに伺います。
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30代後半で3割弱、40歳前後では約4割の妊娠が流産に

「妊娠に気づかずお酒を飲んでしまった」
「仕事で長時間立ちっぱなしだった」

流産後、妊娠中の行動の何かが流産を引き起こす原因になったのではないか、と考えて自分を責める人は少なくありません。しかし、流産は全妊娠のうちの約15%に起こるもので、さらにその原因の多くは受精卵の染色体異常。どんなに気をつけていても防ぐことのできないものです。

平均して約15%といわれる流産率ですが、その確率は妊娠年齢が上がるほどに高まります。

「30代後半では約3割弱、40歳前後になると約4割の妊娠が、流産という結果で終わります。年齢とともに卵子が老化することがいちばんの原因で、受精しても染色体異常のために途中で成長が止まってしまうことが多くなるのです。もちろんそうした現実を知っていても、実際に流産と診断されると悲しいし、精神的な負担ははかりしれません。どこかに原因を求めたくなる気持ちも非常によくわかります。ただ、受精卵の染色体異常は偶発的なもの。次回の妊娠には影響しません。自分を責めず、次の妊娠へと切り替えていけるといいですね」