アフターコロナでもマイホームを買うなら、やはり都心

コロナによって在宅勤務が増えたことから、郊外や地方の広い家に転居を希望する人が増えていますが、現実には都市部から地方や郊外への大きな人の移動は発生していません。確かに一時的に東京からの転出は増えましたが、コロナで仕事を失った人が実家に帰ったことが原因と考えられており、地方への分散化が起こっていると解釈するのは難しいでしょう。

コロナで供給が少なくなったことから、都市部のマンションはむしろ価格が上昇しており、大きく値崩れする兆候は今のところ見られません。

夫婦共働きで、どちらかが派遣社員の場合、どこが勤務地になるか分かりませんから、中心部から遠いエリアへの転居にはリスクが伴います。また今後は人口の急激な減少に伴い、急ピッチで地方や郊外の商圏が消滅していきますから、やはり人口が多く、便利な場所のほうが資産価値を維持しやすいでしょう。コロナをきっかけにマイホームの取得を検討している人は、後で後悔しないよう、場所についてはより慎重に検討してください。

加谷 珪一(かや・けいいち)
経済評論家

1969年宮城県生まれ。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村証券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。その後独立。中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。