支出のカットでコロナ不況を乗り切る覚悟を

ここで気になってくるのが2021年3月の年度末です。日本企業の多くは3月決算ですから、4月を基準にすると、コロナ後に本格的な決算を迎えるのは初めてということになります。日本の全企業の業績を平均すると、売上高が2割落ちると営業利益がほぼ全額吹き飛んでしまいます。2021年3月期決算では多くの企業が赤字に転落し、減給やボーナスカットなどが行われる可能性が高いでしょう。

コロナの影響を受けていない業種や公務員などを除き、基本的には来年以降の賃金は下がる要素ばかりですから、昇給を前提にした生活設計は一旦、見直す必要があると思います。2021年は大きな買い物は控えた方がよいですし、住宅ローンなど一定額の支出を余儀なくされている人は、他の支出を切り詰める努力が求められます。

仮にワクチン接種がうまくいかなかった場合、あと2年程度、こうした事態が続く可能性がありますが、その間は何とか耐え凌ぐしかありません。

株式市場では再生エネルギー関連に注目

実体経済は厳しい状況なのですが、どういうわけか株式市場は活況を呈しており、米国のダウ平均株価は一時、3万ドルの大台に乗せ、史上最高値を記録しました。日本の株式市場も米国に連動する形で上昇が続いており、一部の論者は余剰のマネーが株に殺到しバブルになっていると批判しています。確かにそうした面があるのは事実ですが、筆者は必ずしもそれだけが株高の原因ではないと考えます。

このところの株高を主導してきたのは、テスラやマイクロソフト、グーグルといったIT企業であり、これらは、非接触で経済を回すというポストコロナ社会を象徴する企業です。また、バイデン次期大統領は、コロナで落ち込んだ経済を復活させるため、再生可能エネなどの分野に巨額投資を行う方針を明らかにしています。