繰り下げ受給で最大84%アップ

現在、年金の支給開始は原則65歳ですが、受取時期を遅らせる「繰り下げ受給」をすると、年金額が1カ月当たり0.7%分多くなります。

現行は70歳までですが、2022年からは75歳まで繰り下げられるようになります。70歳までの繰り下げでは年金額は42%増えますが、75歳までの繰り下げでは84%もアップします。支給額が15万円の場合、42%増では21万3000円、84%増では27万6000円の増額です。

年金額が多くなると税金や社会保険料の負担が重くなるケースもありますし、何歳から受け取るのがいいかはその人の生活設計によって異なり、その時期にならないと分かりません。現役時代は、多く、長く稼ぐことを目指し、時期がきたら繰り下げ受給も検討する。それが年金を増やすためのセオリーです。

構成=高橋晴美

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。