必要な場合のみ連絡をするのが男性の基本スタンス

「必要な場合は連絡を入れるようにしています」

これには多くの男性が同意することでしょう。つまり基本的に男性は、なにか伝える必要が生じたときにだけコミュニケーションをとるのです。いってみれば「要件のみ」「業務連絡のみ」。これが男性のコミュニケーションの基本形です。

だから男性同士では用もないのにメールを送ったり、話しかけたりすることは、ほとんどありません。職場の同僚や上司、取引先に対しては密なコミュニケーションを求められることもあるでしょうが、それは仕事という大事な要件があるからこそです。

意識が「要件のみ」ですから、とくに要件のないメールが妻から来ると、「大した話ではない」と思ってしまうし、返信しようとは思いません。

こうした男性の「要件のみ」「業務連絡のみ」のコミュニケーションが妻の不満を生んでいるのです。

問題
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なぜ「業務連絡」だけなのか

男性のコミュニケーションが「要件のみ」「業務連絡のみ」になる背景には、成長する過程での母親との関係があります。

女性の場合、子どもの頃から自分の悩みや、いやな思いをしたことを打ち明けるなど、家庭内で母親と密接なコミュニケーションをとっていますが、じつは男性も小さいころは母親とたくさんの話をしています。友だちとこんなことがあった、学校であんなことがあった……と、女の子と同じように、こと細かに母親へ伝えているのです。

それが減っていくのは小学校の高学年ぐらいからで、中学生になると母親に日々の出来事を話すことはなくなり、「明日、学校で○○が必要」といった要件しか伝えないようになっていきます。高校生ぐらいになれば、必要なことさえ伝えないこともあります。

母親とのコミュニケーションが減っていくのは、息子の年齢が上がっていくにしたがって、母親がその気持ちを理解することが難しくなっていくからです。

幼少期の家庭環境によって異なる物事の捉え方

実際、児童相談所やカウンセリングの場で会った母親たちの多くが、「息子の言っていることに共感できない」と言います。

息子の方も、年齢が上がっていくと、「母親は自分の気持ちを理解してくれない」ことを少しずつ学ぶようになります。

「友だちとケンカした」と言っても、「ケンカしちゃダメでしょ」と叱られたり、「謝ればいいんじゃない?」と当たり前のことを言われたりするだけ。「友だちよりサッカーが上手くできなくて悔しい」という気持ちを話しても、まったく分かってもらえずに、「練習するしかないでしょ」と、これまた当たり前のことを言われるだけ。

母親にしてみれば、男同士のケンカの理由も、サッカーが上手くできない悔しさも理解できません。男同士の仲直りの方法も、サッカーの練習方法も分からないので、前向きなアドバイスなどできないのです。

すると息子は、「どうせ僕の気持ちなんて分かってもらえない。叱られるくらいなら、もう話さないようにしよう」と思うようになるのです。