歴史を振り返ると、いつの時代も人類は感染症と闘ってきた。今回の新型コロナウイルスに打ち勝つ方法は、歴史の中にあるのだろうか。紀元前3500年のメソポタミアの疫病から西暦2000年代のSARS、MERS、新型コロナウイルスまで、感染症の歴史を秋田さんに教わる。

都市化とグローバル化が、感染症を根づかせる要因に

そもそも感染症は、文明とは切り離すことのできない副作用です。つまり多くの人間が密集して暮らす“都市化”、そして遠く離れた地域と交流を持つ“グローバル化”という2つの文明の要素が、激しい感染症の被害という副作用をもたらすということです。

感染症の歴史はかなり古く、被害の深刻化が文明の成立とともに始まりました。紀元前3500年頃には、今のイラクなどにあたるメソポタミアでは数万人単位の人間が暮らす都市が成立し、遠い地域からさまざまな物資が運び込まれていました。この頃から都市化とグローバル化という文明の要素が存在していたわけです。

そこで、さまざまな感染症が発生したことは、古代エジプトのミイラに、天然痘や結核など、感染症の痕跡が残されていることからもわかります。

主な感染症の歴史
主な感染症の歴史