アメリカの金持ちは結婚指輪に10万円しかかけない

さて、一方でアメリカのミリオネアも意外にも質素堅実な模様です。『1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました』(文響社)の本が興味深く、実際にアメリカにいるミリオネア達へのアンケート調査を基にした本になります。この本によると、ミリオネアでもマクドナルドによく行ったり、結婚指輪に10万円程度しかお金をかけない、高級車を乗り回さない、旅行には2年に一度などの倹約家が多いと読み取れます。ミリオネアたちはお金をかけなくても楽しめることを知っているのです。

世界三大投資家のウォーレン・バフェット氏もよくマクドナルドに行くなどかなりの倹約家です。アメリカでマクドナルドというと、日本の牛丼チェーンのようなイメージでしょうか。シンガポールでもフォーカーと呼ばれる、屋台のようなレストランに行く富裕層も多いです。カフェなども高価なスタバではなく、マックカフェ(日本だとドトールレベルに相当)に行くなどコスパ重視なお金持ちが普通にいます。また外食よりも、圧倒的に自宅で食べる割合が高いと感じます。幼少期にほとんど外食をしたことがなく、「自分は周りよりも貧乏だと思っていた」ということを言う富裕家庭で育った人もたくさんいます。

いま、コロナ禍もあり、シンガポールでは安いレストランか記念日に行くような高級レストランのどちらかしか生き残れないような飲食店の再編が進んでいます。富裕層も普段は質素倹約なので中途半端な値段設定の店は誰も行かないということになるのです。

むしろお金を日々使っているのは中途半端なマス層です。中間層のほうが毎晩の食事を豪華にする、スーパーでレジ脇の物を衝動的に買う、休みの度に旅行に行く、よく考えずに住宅など大きな買い物をするなど簡単にお金を使っている印象なのです。本当のお金持ちで、お金をだだ漏れに使っている人はほとんどいません。だからこそミリオネアでい続けられるのだと改めて感じます。

花輪 陽子(はなわ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。