シンガポール在住ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。国土が狭く、人口が少なく、超富裕層の人口密度が非常に高いのが、シンガポールという国。そこで今回は、私が実際に出会った、シンガポールにいる世界のお金持ちの知られざる生態をご紹介したいと思います。
結婚指輪
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マッサージ券を100万円分一括爆買い

シンガポールという狭い国土の中で、子どもの学校や習い事、レストラン、富裕層が住むエリアなどでミリオネアと知り合う機会が生まれます。コロナの影響で日本に旅行に行けないという理由から、シンガポールのお寿司屋さんは非常に大盛況です。シンガポールでは和食は最も高い料理の部類に入るのですが、顧客の多くは地元の中華系の人達。高級ワインを開けてスタッフにも振る舞うなど気前のよさを見せます。

また、マッサージやエステのパッケージなども100万円など日本人からしたら信じられないような金額で一括購入します。養老保険など貯蓄型の保険も大好きでいくつも買う人がいるようです。一気にたくさん買うと、特別価格で購入できたり、特典が多いという理由もあるようで、セールなどでも必要なものを抱えきれないくらいまとめ買いする人もいます。中華系の爆買を実際に目撃してみるとすごいものがあると感じますが、先着何名様などの特典もあっという間に売り切れになってしまいます。中華系は「おトク」に対して非常に敏感なのです。電子クーポンも含めたクーポン券系も彼らは大好きです。

さて、お得だからとそんなにお金をボンボン使っていてはお金が貯まらないのではないかと思うでしょう。シンガポールでは収入の約3分の1が天引きされて強制積立される仕組みがあります。そして、これ以外でもものすごく貯めている人が多いのです。どうやってそれだけのお金を捻出しているかというと、普段は異常なくらい質素倹約なのです。

人口比でも最大を占める中華系のミリオネアの特徴は、いわゆる「晴れの日」と「ケの日」の消費の差がものすごく激しいのです。

SPをつけてフリマで買い物する

中華系に限らずですが、シンガポールの人は富裕層でもメルカリのようなフリマアプリやリサイクルショップを積極活用する人が多いです。実際にリサイクルショップを経営している人に聞いたのですが、香港よりも中古に対する抵抗がないそう。私が20年前に買ったケイトスペードのバッグをフリマアプリで出品したところ、富裕層の友達がそれを持っていたから驚いたことがありました。友達も子どもの本やおもちゃを出品していたら、超富裕層がSPをつけて商品を引き取りに来たと言っていました。

フリーマーケットアプリをスマートフォンで使用
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特に子どもの洋服などすぐにサイズアウトする物はファストファッションやセールを徹底的に活用させます。高温多湿のシンガポールでは衣類の保管が難しいためか、地元アパレルブランドが80~90%引きセールを行います。そのセールには地元の人たちが非常に多く集まります。イタリア製の高級デザイナーズブランドのスーツなども90%オフになるのでまとめ買いをする人が多かったです。サイズが多少合わなくても修理をすることができるのでどっさり買っている人がたくさんいました。実際、古いモールには靴、バッグ、洋服などの修理店がたくさん入っていて日本よりもずっと安い値段で修理やサイズ直しをすることができます。新しいものを買うよりも修理をして長く使い続けるという人も多いです。ボロボロになったブランド物の革のバッグを修理店に持ち込んで直している人を見たこともあります。サイズを小さくすることも大きくすることも可能で安いので、私も子どもの服などはお直しして長く着せています。

食事に関しても毎日の食卓は質素倹約で、ご飯とスープと野菜とタンパク質といったメニューです。「夫が肉と魚と両方出さないとダメで」といった日本人の家庭の声を聞いたことがありますが、シンガポールでは富裕層の家庭であってもどちらかしかまず出ません。パーティーや人をもてなす時はごちそうを出しますが、普段は非常に質素なメニューが一般的です。食材もマーケットで買うので安くて新鮮です。

アメリカの金持ちは結婚指輪に10万円しかかけない

さて、一方でアメリカのミリオネアも意外にも質素堅実な模様です。『1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました』(文響社)の本が興味深く、実際にアメリカにいるミリオネア達へのアンケート調査を基にした本になります。この本によると、ミリオネアでもマクドナルドによく行ったり、結婚指輪に10万円程度しかお金をかけない、高級車を乗り回さない、旅行には2年に一度などの倹約家が多いと読み取れます。ミリオネアたちはお金をかけなくても楽しめることを知っているのです。

世界三大投資家のウォーレン・バフェット氏もよくマクドナルドに行くなどかなりの倹約家です。アメリカでマクドナルドというと、日本の牛丼チェーンのようなイメージでしょうか。シンガポールでもフォーカーと呼ばれる、屋台のようなレストランに行く富裕層も多いです。カフェなども高価なスタバではなく、マックカフェ(日本だとドトールレベルに相当)に行くなどコスパ重視なお金持ちが普通にいます。また外食よりも、圧倒的に自宅で食べる割合が高いと感じます。幼少期にほとんど外食をしたことがなく、「自分は周りよりも貧乏だと思っていた」ということを言う富裕家庭で育った人もたくさんいます。

いま、コロナ禍もあり、シンガポールでは安いレストランか記念日に行くような高級レストランのどちらかしか生き残れないような飲食店の再編が進んでいます。富裕層も普段は質素倹約なので中途半端な値段設定の店は誰も行かないということになるのです。

むしろお金を日々使っているのは中途半端なマス層です。中間層のほうが毎晩の食事を豪華にする、スーパーでレジ脇の物を衝動的に買う、休みの度に旅行に行く、よく考えずに住宅など大きな買い物をするなど簡単にお金を使っている印象なのです。本当のお金持ちで、お金をだだ漏れに使っている人はほとんどいません。だからこそミリオネアでい続けられるのだと改めて感じます。