低い目標の集合体にならないように

とはいえ、せっかくOKRを取り入れても、現場が低い目標の集合体になってしまったり、全体の目標を高く掲げて現場と乖離ができてしまったりして、失敗しているところも少なくありません。OKRがうまく機能せず、業績につながらないのです。

OKRを成功させるには、やはり「意思」の力が必要です。「やり遂げる」ということですね。

特にベンチャー企業では、経営者の意思やその意図をくんだ人事の意思が非常に重要になってきます。

正直、MBOやOKRに取り組むことは、忙しい現場では余計な仕事に見えます。しかし、そこをあきらめずに、経営層が働きかける。最終的に意思の問題になるといえるのです。

その意思を体現するコツとしては、より使いやすいシステムを導入する、ふだんからコミュニケーションツールでやりとりして面談は短めにする、日報やデイリーリポートにOKRのことを埋め込んでおく、といったことが挙げられます。

そして会社の意思が大切であると同時に、働く本人の意思も大切です。変化の大きい今、会社の意思と自分の意思が一致しているか、一致度が高いか低いかといったところに意識をもっていると、よりよいキャリアを選択できるでしょう。個人個人が意思を持ったよい選択をするほど、それが社会や組織を動かす力になります。

構成=池田純子 写真=iStock.com

伊藤 秀也(いとう・ひでや)
Works Human Intelligence 経営企画 Div.

2001年、ワークスアプリケーションズ入社。コンサルタント、HR製品の開発責任者を経て、1100社を超えるユーザー会の企画運営を務める。現在は、Works Human Intelligenceの経営企画部門責任者として、経営戦略の立案・企業文化の醸成・組織改革等、幅広く手がけており、年間100名以上の経営者・人事との面談実績を持つ。