「拍手機能」を使いこなせているか

実際に分断勤務を始めると、自分の立場に合わせて仕事を調整していく分、上司やチーム内でのコミュニケーションがより重要になってきます。自身の状況を伝えて理解を得る、事前にどういう状況が発生するか報告する、そういったことを1on1の中で行う必要があるでしょう。

上司としては時間の管理が難しくなりますので、そこは留意が必要です。分断勤務というのは結局、コアなしフレックスと在宅勤務のかけ合わせ。業務を時間で管理するよりは、共通の目標に向けて、どういうアウトプットを出していくのかという管理が重要になってきます。当然ながらチームで集まってミーティングを行う機会も減りますので、上司としてチームのモチベーションをキープするためには、工夫が必要になります。

その工夫のひとつが「コミュニケーションツールを効果的に使うリテラシーを上げる」ことです。

みなさんはすでに実行しておられるでしょうが、Microsoft TeamsやZoomといったウェブ会議やSlackなどのチャットツールなど、いわゆるコミュニケーションツールをうまく使っていく。

たとえばウェブ会議のツールにはどんなものがあって、それを使うとどういう反応が得られるか、チャットツールであれば、一人ひとりのコメントに対して、スタンプをどう使うか、上司がそういったツールの中身を知って使うと、部下の心持ちが全く違ってきます。またZoomの“拍手”などの機能を組織的に促すことがコミュニケーションを活性化させることもあります。

上司としては、もはやこういったコミュニケーションツールが苦手とは言っていられないのです。

一時期に比べると、仕事と家庭の両立での厳しい状況はおさまりましたが、これをきっかけに企業が分断勤務を取り入れて、働きやすい制度設計をつくる、というエネルギーが生まれたのは、非常にポジティブなことだと思います。そういった変化は、今後もますます加速していくはずです。

構成=池田 純子 写真=iStock.com

伊藤 秀也(いとう・ひでや)
Works Human Intelligence 経営企画 Div.

2001年、ワークスアプリケーションズ入社。コンサルタント、HR製品の開発責任者を経て、1100社を超えるユーザー会の企画運営を務める。現在は、Works Human Intelligenceの経営企画部門責任者として、経営戦略の立案・企業文化の醸成・組織改革等、幅広く手がけており、年間100名以上の経営者・人事との面談実績を持つ。