分断勤務が向かない職種、企業カルチャーとは

では、どの企業も分断勤務を認めているかというと、必ずしもそうではありません。

そもそも業種、業態、職種によっては、分断勤務ができないものもあります。たとえば店舗勤務や製造ラインのある小売業や建築業、物を動かさなくていけない物流業、そういった直接部門は難しいでしょう。

これ以外の間接部門、つまり研究職や一部の営業職や管理職については可能ですから、今回のコロナ禍でも取り入れる会社が増えてきたと言えます。

また、そういった働き方が、企業文化として許容されているかどうかも関係してきます。たとえば統制のとれたラインマネジメントを重視し、それによってクオリティを保つ伝統的な会社なら、「柔軟すぎる制度」が自社の競争力を奪ってしまう場合もあります。そういった企業だと、分断勤務はあまり向いていないでしょうね。

今の時代、柔軟な働き方ができない会社は批判されがちですが、統制型の企業がうまくいく場合もあります。たとえば緊急事態宣言が出たら、生産計画を変更し、工場を止めて従業員の安全を確保したうえで、徐々に再稼働していくといった対応は、管理がしっかりしているからこそできます。分断勤務など自主性を優先した柔軟な働き方を許容することだけが正義ではないことも合わせて知ってほしいと思います。

制度設計とシステムが間に合っているか

そういった前提を踏まえて、大きなハードルになるのが「制度設計」です。つまり分断勤務を実現するには、就業規則を変えたり、労働組合の承諾を得たりといった準備が必要になるということ。

またテレワークや分断勤務といった新しい働き方に合わせたシステムも用意しなければいけません。在宅勤務の時間や、間の勤務外の時間を入力できるようにしたうえで、勤務時間の管理をしていくということですね。

分断勤務を認めるかどうかは、その働き方ができるか、それを許容する文化か、といった前提があって、この二つの対応が間に合っていることが必要条件となるのです。