「成功」ではなく「成長に」注目しよう

(8)「成長はした」

自己肯定感が低くなっているときは、結果を成功か失敗か、択一で考えてしまいがち。当然、物事が思い通りに運ばないと、それは「失敗」にカテゴライズされてしまいます。

でも失敗したという結果があったということは、挑戦したということ。そのプロセスにおいて、いろいろと試行錯誤していますから、当初よりは十分に成長しています。その経験は財産として今後も役立っていくことは確かですので、成功しなくても「成長した」と胸をはっていいと思います。

自分を奮い立たせる言葉を持っておこう

(9)「このままじゃ割に合わない」
(10)「大丈夫、大丈夫」

ネガティブな気持ちに引き込まれそうなときこそ、自分を価値のある存在と考えて自分を奮い立たせるのが、この二つの言葉です。

「このままじゃ割に合わない」は、自分は一生懸命やっている、たとえマイナスなことがあっても、こんなに価値のある自分がこのままで終わるわけがない、このままで終わるには割に合わなすぎるというときにぜひつぶやいてほしいですね。

気持ちを切りかえて、自分をポジティブにもっていくために必要なのが「大丈夫、大丈夫」です。これは元プロレスラーのアニマル浜口さんの「気合いだー!」と近いですね。これも自分の気持ちをポジティブに切り替えるための彼なりのルーティンなのでないかと思うのです。何があっても、大丈夫、大丈夫と自分に声をかけてやっていきましょう。

成功した人の話を聞いて落ち込んだときは

インターネット上では、いろいろな成功した人の話があふれています。そういった話を読んで、「この人に比べて私はふがいない……」とモヤッとしたら、まずそういった成功談は、苦労した背景があるけれど、日の当たるところだけがフューチャーされている、そう読み取ってほしいですね。

成功しているところだけに自分を照らし合わせると、しんどくなるのは当然です。でもあなたには、あなたの強みがあります。大成功した人と比べてもしょうがありません。SNSなどもいくらでも加工できるので、自分と比較してしまうと、自分のエネルギーばかり奪われてしまいます。注意しましょう。

モヤッとしたら「大丈夫、大丈夫」と言っておけば、本当に大丈夫ですから!

構成=池田純子 写真=iStock.com

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。