MEJで働くフリーランスは6割が女性
驚いたことに同社で働く女性は澤田さんも含めて6割強を占めるという。
「化粧品会社で顧客管理の経験がある人、広告の運用、クリエイターも女性です。結婚し、子育て中の女性もいますし、産休・育休後に会社に戻りたくないので独立した人もいます。子どもが熱を出したとか、どんな事情であろうと自己裁量でいつ休んでもいいし、自分で決めることができます」(古賀社長)
こうした自由度の高い働き方も優秀な女性を引きつける魅力なのかもしれない。
同社の急成長の秘密は優秀なパートナーの存在だけではない。業務の効率化や迅速な意思決定などパフォーマンスを最大化するための「徹底した仕組み化」もその一つだ。たとえばあらゆる業務がオンライン上ですべて完結する仕組みを整えている。組織はヒエラルキー型ではなく、役員が各事業部のヘッドとしてPM(プロジェクトマネジメント)的役割を担うが、全社を貫いているのはメンバー全員による財務状況など会社のあらゆる情報の共有だ。
「各事業部のプロジェクトのデータなどの情報をすべて可視化しています。誰がどんな業務を担い、今どんな状況にあり、いつ頃終わるのかといった進捗状況もすべて見える化しています。さらに日々の意思決定を含む個別のチャットのやりとりも記入式にしてすべてオープンにし、誰でも見ることができます」(古賀社長)
Zoomを使わない理由
プロジェクトを進行するには意思疎通や意思決定などを行う「会議」も必要になるが、同社には会議がないと言う。
「会議の主な目的は意志決定と情報共有です。一般的な会議では多くの資料を事前に用意し、単に情報共有するだけになっています。それをなくしたいと思い、情報共有の仕組み化をオンライン上で実現している。残る意思決定は、すぐにやりたいものについてはWebのテレカン(電話会議)を多用し、それですませるようにしています」
ところで今では会議といえばZoomを使うが、同社ではZoomを使っていない。
「なぜならZoomの会議はあらかじめ参加者の日時を調整し、予約しないといけません。オフラインの会議と同じで日程が合わないと1週間先、2週間先になってしまう。また女性の中にはZoomだとお化粧したり、子どもが画面に出るので恥ずかしいといった煩わしさもあります。そこで相談や打ち合わせはSlackの電話機能を使って5分、10分のプチ会議を積極的に行い、必要に応じて意思決定をしています。Zoomを禁止しているわけではありませんが、うちでは必要ありません」(古賀社長)
Zoom会議はオフィスに一堂に集まる必要がないという利便性はあってもムダな会議もあり得る。同社はオンラインを駆使した見える化で情報共有し、電話で意思決定を図っている。とはいってもコミュニケーションの重要性はリモートワークでも変わらない。とくにコロナ禍で社員同士の何気ない会話がいかに大切なのかが浮き彫りになった。古賀社長が実践しているのが、メンバーとの電話での1on1だ。