プロ人材が半数を超えたとき、社員の反発も
「最初は新卒採用にも力を入れました。良い人材を採るために大学3年の早期に内定を出し、その間内定フォローしながら入社までに丸2年もかかり、入社しても戦力になるには教育に時間がかかります。そういう状態で会社を運営していましたが、事業が伸び悩む時期が続き、成長軌道に乗るにはどうすればよいのか日々考えるようになりました。そんな時にプロ人材を紹介するサーキュレーションさんの「プロシェアリング」というサービスを利用し、2018年に業務委託で人材を迎えることにチャレンジしたのです」(古賀社長)
当時社員は15人程度いた。それでも新卒など正社員中心の会社に突然外から業務委託の人が割って入るのは社員の抵抗もある。それを緩和するために社員を採用面談に同席させて相手の実力を知ってもらう機会を設けた。
「この人どうかな、と聞くと、誰もが『優秀な人じゃないですか、ぜひ一緒に仕事をしたいと』と納得してくれました」(古賀社長)
しかし最初はそれでよかったが、プロ人材が半数を超えると社員の反発が広がった。
「せっかく人生をかけてこの会社に入ったのに、社長は社員を採る気がないんだと落胆し、去っていく社員もいました。その結果、従来の社員2人が業務委託契約に転換し、2020年には全員が業務委託になりました」(古賀社長)
プロ人材として働く魅力3つ
今ではプロ人材の活躍が事業の成長を支えているが、それにしても優秀な人材を簡単に獲得できるものなのか。古賀社長は「買い手市場だ」と言う。
「プロのフリーランスを積極的に受け入れている企業が少ないからだと思います。中途人材をヘッドハンティングした経験もありますが、口説くのに半年ぐらいかかり、しかも人材紹介会社経由だと年収の3分の1の手数料もとられます。しかし、プロのフリーランスは会ってから最短で1週間後には来てくれます」
しかも今はコロナの影響で働き方も一変した。出社の必要もなく、フルリモートの働き方も可能になった。
「テレワークが可能になり、首都圏以外に住む優秀な人も活躍の道が広がりました。当社にも東京以外で働く人がたくさんいます。出社するにしてもスーパーフレックスなのでいつ出社してもいいですし、どこで仕事をしてもかまいません」
その一人である澤田清恵さんはソフトバンクで13年間人事畑を中心に歩み、現在複数の企業の支援をしている人事専門のプロだ。その澤田さんは業務委託契約の魅力は3つあると言う。
「1つは社員であれば上に行くほどいろんな役割を期待されますが、(業務委託契約であれば)好きな仕事、やりたいことにフォーカスできることです。2番目は時間に縛られずに働くことができる。自分の生き方、暮らし方、働き方をデザインできるのが魅力です。3番目は仕事をクライアントから評価されることで自分のマーケットバリューを知ることができることです。自分に足りない部分があれば改善を繰り返して努力する学びも得られます」