収入から働きがいへ、ライフスタイルも含めて考えよう

これから人生後半戦のキャリアを考えるとき、高収入にはこだわらず、お金には代えられない幸福を大切に考えたほうがいいのではないか、というのが私の持論です。

収入から働きがいへ、ライフスタイルも含めて考えよう

政府は高年齢者雇用安定法を改正し、70歳まで定年延長とともに独立支援することも企業に求め始めました。公的年金も、受給開始年齢を最大75歳までに拡大する方向です。50代、60代になっても、職業人生はまだまだこれからという時代をすでに私たちは迎えているのです。

それなら、人生後半戦はやりたい仕事のために自分の人生を使ったほうが幸せなのではないか。

心理学の科学的研究も進んできました。それによると、出世やお金のために仕事をし、必死に頑張って目標を達成する。こういうときはスポーツなどでも得られるドーパミンという脳内物質が分泌されるそうです。勝ち負けの世界ですね。一方、他人のために働いて喜ばれることによって自分自身が幸せを感じると、オキシトシンという“幸せホルモン”が出るのだそう。どちらが正しいかではなく、キャリア後半では、後者が重要になってくるのではないでしょうか。

さらに特筆したいのは、SNSやクラウドファンディングの登場です。自分の損得よりも世のため、人のために働いていると、共感が集まりやすい環境が整ってきました。実はお金は後からついてくるのです。幸せとは、自分が働くことが誰かの役に立っていると感じられる喜び、つまり「働きがい」を感じられる仕事をすること。

今、豊かさの定義は経済的にリッチになる成功ではなく、心が満たされ精神的に豊かになる「成幸」に変わってきています。ぜひ成幸する仕事や働き方を見つけてください。

構成=八村晃代 イラスト=市村 譲 写真=iStock.com

前川 孝雄(まえかわ・たかお)
FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師

リクルートで編集長を務めたのち、2008年にFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、研修事業と出版事業を営む。「上司力研修」「50代からの働き方研修」などで400社以上を支援。2017年に働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人企業研究会 研究協力委員サポーター、ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。30年以上一貫して働く現場から求められる上司、経営のあり方を探求。著書は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』『人を活かす経営の新常識』『50歳からの逆転キャリア戦略』など約40冊。