「複業」にチャレンジして、経験値の幅を広げる

目的を持って始める副業は、とても有効です。しかも今、働き方改革で副業にはフォローの風が吹いています。10年ほど前までは会社に在籍しながら副業なんて、就業規則でNGというのがスタンダードでした。ところが最近は、大企業でも副業の解禁が進んできました。

ただし、副業には3段階あって、キャリアを考えるなら、私はアフィリエイトなどで稼ぐサイドビジネスという意味での「副業」はおすすめしません。サイドビジネスの「副業」が第1段階だとすれば、自分の強みを生かして経験値をアップさせるのが第2段階の「複業」です。勤めている会社以外、複数の会社から稼ぎを得ることです。それを超えると、自分が本当に幸せを感じられる複業ということで、幸福の福を書いて「福業」に。自分を充実させることができて、かつ他人に喜んでもらえる仕事を会社の外で見つけることは、大きなステップアップになります。

「年収=フロー思考」から「資産=ストック思考」へ

現在、大企業に勤める管理職クラスだと、年収は800万円を超えるという人も少なくないでしょう。

「年収=フロー思考」から「資産=ストック思考」へ

今の収入に満足しているなら、落としたくないというのは誰もが思うことです。もし収入を重視するのであれば、社内で新たなキャリアを築いていくという方法もありです。転職、独立を選ぶにしても、自分の市場価値を客観視し、労働市場で今と同じような収入で評価をされるまで自分の価値を高めるべきです。

ただ、収入より働きがいを大切にしたいなら、今の収入が本当に必要かどうかを考えてみてください。

日本は中小企業で働く人が7割を占め、年収300万円未満で働いている人が4割です。それでもやりくりができるのです。しかし、人生100年時代、老後に2000万円が必要などと言われると不安ですね。でも、ここでも発想の転換が必要です。毎年入ってくる世帯年収を基準に考える「フロー思考」を持っている人が多いと思いますが、これを、両親の資産を含めた「ストック思考」に切り替えてみてください。

親の資産をアテにするなんて……と思うかもしれませんが、親の世代とは生活コストが違います。教育費をみても、昭和50年度の国立大学の授業料は3万6000円、今は標準額で約54万円ですから15倍です。税金や社会保険料も重くなっています。日本の人口に占める65歳以上比率は3割弱ですが、個人金融資産約1900兆円の約7割を高齢者が保有。もちろん親世代の努力もありますが、それを可能にする社会システムが機能していたからなのです。

親が亡くなれば相続税の名のもと、多くを国に持っていかれる可能性もあるのですから、今のうちにそのお金を頼りにしても心苦しくないはず。この安心感が希望年収のラインを下げることにもつながり、結果的に仕事の自由度がアップします。