Z世代女子「家事育児センスがある人を選びたい」

【曽我くん】キャリアに影響が出ない範囲でっていうのは僕も同じです。ただ、今はリモートワークという方法もあるから、育休から仕事に復帰した後も家で育児しながら働くのは可能なんじゃないかな。そんな融通がきく会社を探したいです。

【鈴木さん】私は、家事育児のセンスがある旦那だったらぜひとってほしいけど、マストだとは思っていません。できないなら家にいられても邪魔なだけ(笑)。だったら、育児は私がやるから外で稼いできてって思っちゃう。できれば結婚相手にはセンスのある人を選びたいですけどね。

【原田】男子は育休に肯定的なんだね。その意見は、仕事との両立という意味では現実的だし、そういう若者は多そうな気がするよ。逆に鈴木さんはバリキャリ志向だけど、相手によっては休む必要なしかぁ……(笑)。それも現実的な考え方かもしれないな。

男子に肯定的な意見が多いということは、今後は男性育休が普及していきそうだね。男性が休んでも陰口を言われない、キャリアに影響の出ない社会になっていくように思ったよ。

家事のアウトソースについては、否定的な意見が多勢を占めました。仕事と家事の両立は大変とわかってはいても、やはり他人には家に入ってほしくないという思いがかなり強いようです。ただ、バリバリ働きたいと考えている女子は、ドラマの影響もあってアウトソース派に転じつつある様子。Z世代女子の間では今後、専業主婦希望者が減るにつれてアウトソース志向が強まっていく可能性もありそうです。

手料理についてもさまざまな意見が出ました。例えば北欧では、物価が高いため毎日の食事は手料理という家庭が少なくありません。これは、ワークライフバランスがしっかりしていて、夕方には帰宅できる働き方が根付いているためでもあります。日本はこうした北欧型か、前述の欧米・中国型か、どちらに向かうのでしょうか。Z世代が目指す働き方や価値観の変化に、今後も注目していきたいと思います。

構成=辻村洋子 写真=iStock.com

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト、芝浦工業大学教授

1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。