マインドフルネスで心を整える

静かな本堂で、冬の空気と石油ストーブのにおいに包まれながら、黙々と筆ペンを動かす。半紙から透ける線をなぞるだけなのに、気を抜くと曲がる線。途中、とりかかり中の仕事やメールの返信を忘れていたことなどが頭をよぎるも、慎重に続けること30分。やっと半紙に普賢菩薩ふげんぼさつが浮かび上がってきた。

写仏中はただ写すことに専念

山形県酒田市にある曹洞宗の寺院・總光寺そうこうじ。仏の絵をなぞる「写仏」を体験したくて、ここに来た。

最初に住職の原崇弘すうこうさんからレクチャーを受けた。「まず呼吸を整えます。ゆっくりと時間をかけて口で息を吐ききってから、鼻から吸います。吐くときには横隔膜を下げておなかを膨らませて、吸うときにはへこませてください。4、5回繰り返して、慣れてきたら吐くときも鼻だけで行います。写仏中はただ写すことに専念してください。それがリラックスにつながりますから」

写仏が完成に近づいたとき、普賢菩薩の後光を一息で描いたところ、気合を入れすぎてここだけ妙に太い線になってしまった。案外うまく描けていたと思っていたのに、残念!

住職に仕上がりを見せながら報告したところ、予想していなかった言葉がかえってきた。

夕食は目も舌も喜ぶ地産地消フレンチを