女性のモチベーションを奪う男性集団の悪意なき言動

日本企業が進めるべきダイバーシティの中でも最もハードルが低いと思われるのが、マジョリティの男性社員とは性別以外はほぼ同じ、女性社員の活用である。しかし、それすら阻む元凶となっているのが「オールド・ボーイズ・ネットワーク」。“マイノリティ”である女性社員のモチベーションを奪ってきた、男性集団の悪意なき言動やその文化全般を指す。

犬塚政彦さん(写真提供=佐川急便)
犬塚政彦さん(写真提供=佐川急便)

あちこちの異なる業種の企業からこのプログラムに参加した犬塚さんら管理職の面々は、この「オールド・ボーイズ・ネットワーク」に気づき、我が事として受け止めたうえで、自社内でその対応策を講じるというミッションを負っていた。

オールド・ボーイズ・ネットワークという名称を初めて聞き「なんだそれは?」と思ったという犬塚さん、「最初の感覚では、腹落ちはしませんでしたが、なんとなく理解はしました」という。

ミッションを同じくした同世代の男性管理職が集結

月1回集まる分科会では、メンバー7人が毎回自分たちでテーマを決め、議論を進めながら対策を出していく。「テーマは、例えば女性活躍を阻害する管理職の行動意識が何からくるのか、バイアスがどのように働くのかなど。積極的に話をしました」。

メンバーの所属企業は、印刷、外資系生保、化学、通信、精密機械、電子機器と業種は本当にバラバラだが、共通のミッションを持つ同世代の管理職ということもあって、すぐに打ち解け、仲間意識が生まれたという。

衝撃的だったのは、J-Winの女性メンバー185人を対象としたアンケート結果。女性社員が日々感じている(いた)モチベーションの低減・職務遂行上の弊害となりうる「男性管理職が無意識に行っている職場での行動や考え方」を、各人3個程度ずつ記したものだ。いわく「自分の思考・行動特性を押し付ける」「上司に忖度する」「責任ある仕事は男性に任せる」……。

「厳しいなあというのは感じましたよね。思った以上に。クーラーの温度上げてほしいとか、ご飯食べるのが早すぎるとか。歩くのが早いよね、といったことまで含めて……何でしょう……そういうことも気をつけたほうがいいんだなと。衝撃を受けました」