経営者を対象にした『論語』の勉強会に参加し、素読をするのが恒例になった。傍らに『論語』を置いておき、折に触れて目を通しているという。
画像提供=株式会社ユーグレナ
経営者を対象にした『論語』の勉強会に参加し、素読をするのが恒例になった。傍らに『論語』を置いておき、折に触れて目を通しているという。

「遠き慮り」で社員の仲間を率いる

仕事をするうえで、とても役に立っている『論語』の言葉が「人にして遠き慮りなければ、必ず近き憂いあり」です。遠い将来まで見通す深い考え方ができないと、必ず近いうちに困ったことになるだろう、という意味で、まさに、リーダーは会社全体のことを先々まで見通して仕事をやらなければならない。

それを実践するときに、大事なことがあります、と安岡定子先生が教えてくださったのが、「辞は達するのみ」。これも孔子の言葉で、相手にその意味がわかるように伝えることが大切だ、ということです。

リーダーがどんなに先々のことまで考えていても、つまり「遠き慮り」をしていても、そのことを会社の仲間や関係者がわかっていないと、つまり「辞が達していない」と、組織やビジネスは思うように回っていきません。

いまユーグレナ社は10社ほどのグループ会社を抱えていますが、M&Aによって傘下に収めたところばかりです。企業風土も仕事のやり方も全然違う人たちが、ある日を境に、ユーグレナグループの一員に加わるわけです。

予期しない突然の変化に、その会社の社員はこれからどうなるんだろう、と不安を抱いている。まずはそれを取り除いてあげないといけない。ユーグレナ社はこういう事業戦略を描いていて、あなたがたの会社にはこういう役割を期待して買収したのです、という「遠き慮り」を、皆がわかるように説明しないといけない。「辞は達するのみ」です。

目標や事業戦略を共有できるようなるまでは、時間がかかるでしょう。いずれ持てる力を今まで以上に発揮してもらえればいい。そういう思いで、傘下に収めたグループ各社の訪問に、時間と労力をかなり割くようになりました。

いかなる人を師とし、学ぶのか

『論語』や坐禅を自分の支えにしていくうえで、大事なことは、誰から学ぶのか、どんな師から教わるのか、ということです。

『論語』と同じくらい考え方の拠り所にしているのが、森信三先生の『修身教授録』です。その本で、人物評の一丁目一番地ともいえる指標として掲げてあるのが「その人がいかなる人を師匠としているか」ということ。まさに至言です。

『論語』では、SBIホールディングスCEOの北尾吉孝さんを通して安岡正篤氏を知り、そして孫にあたる安岡定子先生に学んでいる。「坐禅」では、平井正修住職に導かれている。こういう「よき師」に恵まれて、本当によかった。

現在40歳。これからの経営者人生にどんな困難が待ち受けているかもしれません。それを乗り越え、さらにユーグレナグループを成長させていくためにも、生き方・考え方の支えとなるものを学び続けていきます。

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「苦境を乗り越える 勇気を与えてくれる『論語』の言葉」
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仕事や人生において、苦境や逆境に立たされたときに、どうすればいいのか。
その参考になるのが、中国古典の名著、孔子の言行録『論語』です。
ビジネスにも人生にも役立つ珠玉の章句(言葉)を選んで、わかりやすく解説しています。
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講師プロフィール
安岡 定子(やすおか・さだこ)氏
安岡定子事務所代表。公益財団法人 郷学研修所・安岡正篤記念館理事長。二松学舎大学文学部中国文学科卒業。漢学者・安岡正篤氏の孫。論語教育の第一人者として知られ、「こども論語塾」の講師として全国各地で講座を開催するほか、企業やビジネスマン向けのセミナー、講演活動を行っている。『実践・論語塾』(ポプラ社)、『子や孫に読み聞かせたい論語』(幻冬舎)、『はじめての論語』(講談社)など著書多数。
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(構成=PRESIDENT経営者カレッジ編集チーム)