“見えない部分”があなたの印象をつくっている
「着るものがない!」そう叫びたくなるほど、もどかしく感じる季節の変わり目には、実は“あなたが今本当に必要なワードローブは何か”が明確にわかるヒントが隠されています。とくに忙しい朝、コーディネートに困ったら浮かんでくる「こんな色のトップスがあれば」「合わせる靴がないな」という気づきこそ、今のあなたに足りないアイテムを知るための大切な不満=本心。とくにこれまで積み上げてきたワードローブの盲点が浮き彫りになるのがこの季節の変わり目なのです。
急に涼しくなったら着るものがなく、クローゼットをあさってどうにか見つけた服をかき集めて着ている人と、なんとなく心構えができていて、きちんと準備をしていた服を着ている人とでは、明らかに差が出ます。その差は時間的余裕なのか、丁寧な生活感なのか、もしくは服にシワがよっていない清潔感なのか――たとえ理由は明確でなくても、なんとも説明のつきがたいオーラが出るものです。
そしてその差はいずれ見た目の差から振る舞いの差、仕事の成果の差、収入の差へと広がってゆきます。ファッションは見た目の話のようで実は違う。あなたの見えない部分、つまり性格や生活ぶり、生きざままでをも象徴する“内面のいちばん外側”に過ぎません。このようにきちんと自分と向き合って買い足すアイテムを選び取れれば、今後買い物の失敗もぐんと少なくなるでしょう。
オススメはカーディガン、でも選び方に要注意!
夏から秋へ移るタイミングで買うべきものとして今回オススメしたいのは、上質なカーディガン。けれどカーディガンはワードローブの定番中の定番なだけあって、気をつけたいのはその選び方です。
季節の変わり目に役立つカーディガン選びの条件、まず1つめは秋色であること。このタイミングでなんとなく軽やかな色を買い足してしまうと、変わり映えがしないうえに、せっかくの新しいワードローブも夏を引きずっているように見られかねません。
条件2つめは、ネックの形。大きく分けてカーディガンにはクルーネックとVネックがあります。似合うかどうかで決めるのはもちろん、手持ち服の襟との相性で選んでもよいでしょう。
そして3つめの条件は、上質な素材感にこだわっているということ。先に述べたようにカーディガンは定番のアイテムなだけあって、何にでも合わせやすく、とにかく着まわせるという目線で選びがち。けれど「何にでも合う」ということは、言い換えれば「どれにもベストマッチではない」可能性が高いのです。無難を条件に選んでいては、会社のロッカーに入れっぱなしの“置きカーディガン”に見えてしまいます。素材や縫製の美しい一枚を選んで、長く愛用するのが大人の選択です。
カーディガンは、今の時季なら夏のトップスに羽織ったり、季節が進んだらジャケットのインナーにしたり、前ボタンを留めてニット代わりにしたりと、数通りの使い方ができる万能アイテム。着こなし次第でいかようにも印象を変えてくれるはず。気温の乱高下が激しいシーズンにこそ本当のお気に入りを買い足して、オンオフ問わずパワーアイテムとして活躍させましょう。
今月の名品 ジョン スメドレーの新作カーディガン
※価格はすべて税抜きです
スタイリング=乙部アン 撮影=小林美菜子 写真=iStock.com
新ファッションウェブマガジン「LIV,」女性ファッション誌のフリーエディターをしながら執筆家としても活動、いくつかの連載を掛け持ちする。アメブロやnoteなどのブログでは、大人の女性に役立つファッション・仕事・サステナブル・ライフスタイル・独自の人生哲学を発信。