ドイツのお弁当はタッパーにバナナとリンゴ

なんたって、ドイツの幼稚園や小学校で子どもが持っていく食べ物といえば、タッパーウエアに入れたバナナやリンゴ、そして凝っていたとしてもサンドイッチで、ニッポンのお母さんのようにお弁当のために朝5時に起きる人はいません。

もちろんドイツと100%同じスタイルをニッポンの学校でやってしまっては、子どもが浮いてしまうので、そのままコピーしてマネをすることは避けたいところですが、子どもを含め周囲の人に「海外のお弁当はバナナとリンゴとサンドイッチみたいよ」というようなことは繰り返し宣伝しても良いと思います。

お弁当作りのために朝5時に起きたり、全てを手作りするために、仕事が終わった後、キッチンで下ごしらえするのが暗黙のうちの「義務」になってしまっては、女性は疲労するばかりです。そして、ここが怖いところなのですが、「肝心なキャリアにはエネルギーが回らない」ことになってしまいます。

現に「家庭との両立が大変だから」という理由で、時間的にも業務的にも「もっと簡単」な仕事に移る女性は多いものです。その原因が「ブラック労働」の場合でもあるのはさておき、「家庭での仕事が多過ぎる」ため、本来は頑張るべき外の仕事に支障をきたしているという場合もあります。

「家庭も大事にすべき」というのはその通りなのですが、キャラ弁や手作り料理だけがその全てではないはず。男女平等の世界ランキングを上げるためにも、まずは「家庭の疲れること」からサヨナラすることが第一歩だと思います。

ニッポンの女性は先進国で一番、睡眠時間が短い

さて、私が書いてきた「女性の疲労」という言葉を聞いて、「そんな大げさな」と思われる読者の方もいらっしゃるかもしれません。確かに発展途上国の農村で今も行われているような、「女性が水を汲みにバケツを持って井戸まで行く」といった「分かりやすい女性の重労働」は今のニッポンにはありません。その一方で、現時点でニッポンの働く既婚女性の睡眠時間は先進国の中で一番少ないのです。

つまり、「日常生活に女性がつまずく石ころがいっぱい置かれている」結果だと考えるのが自然です。日本の場合、厄介なのは、前述のような「バケツを持って水汲み」というような、女性に対する「分かりやすい負担」があるのではなく、どちらかというと、「日常のごくごく小さなことの積み重ね」が女性を疲労させていることです。さらに悪いことには、それは時に「キラキラしたこと」「女子力が高いこと」として持ち上げられている行為だったりします。でもその“キラキラ”を生真面目に追求すると疲労してしまうわけです。恐るべきサイクル。