売り上げが伸び始め、やがて業績もV字回復

もともとキャッチコピーなどを考えるのは得意。そこで、消費者の立場から考え、商品について良いと思ったことを素直に広告に反映させていると、売り上げが伸び始め、やがて業績もV字回復した。

「そのときも会社は“危機”でしたが、私のモチベーションは低くなかった。むしろ“喜々”としていました(笑)。もともと何かの壁がないとダラダラしちゃって頑張れないタイプなので、むしろ崖から突き落としてほしいというぐらい」

タフなメンタルは、学生時代から続けていたチアリーディングでも培われたという。社員にとっては会社のピンチを救った英雄であり、周りを明るくするパワーの持ち主。まさにチア(励まし)の精神で認められ、一足飛びに本部長、役員、社長へと躍進した。

「近代史が好きで、勉強していると、いつの世も、行動すべきことは断固、行動すべきだし、その行動も自分の利益や目先の利益のためではなく、大義や使命から発せられなければならないということを実感します。社長になってからは常に『会社ってなんのためにあるのだろう』と自問し、社会に対する企業としての存在意義を探し続けていますね」

■役員の素顔に迫るQ&A

Q 好きな言葉、座右の銘
山本五十六
「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

Q 趣味
近代史の史跡めぐり
幕末から昭和初期までの歴史が好きで、会津若松市や萩市、鹿児島市などへも遠征。

Q ストレス発散法
中国語など語学の勉強

Q 愛読書
司馬遼太郎著『坂の上の雲

Q Favorite item
写真で着用のオーダーメードスーツ
社長になり株主総会で着るため、初めてオーダーメードで仕立てた。「Re.muse」という女性社長が率いるテーラーのもの。

文=小田慶子 撮影=干川 修

斎藤 智子(さいとう・ともこ)
アテニア社長 ファンケル執行役員

1974年生まれ。東洋英和女学院卒業後、ファンケルに入社。99年に傘下の化粧品会社アテニアへ移籍し、商品企画に携わる。2015年、営業戦略室室長に。上海で現地法人の立ち上げに携わる。18年、取締役・営業戦略室室長に就任。19年、アテニア初の女性社長となる。