日常の中で、自分と違う意見にぶつかることは多々あります。産業医・精神科医として1万人以上をサポートしてきた井上智介先生は、自己肯定感の高い人と低い人とでは、そのときの対応方法がまったく違うと指摘します。その違いとは――。

※本稿は井上智介『職場での「自己肯定感」がグーンと上がる大全』(大和出版)の一部を再編集したものです。

ノートパソコンを開きつつ、あごに手をやり、悩む女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/nathaphat)

周囲と自分を比べてしまう悩み

医師として受ける相談で、人間関係に関するものは大きな割合を占めます。

なかでも「つい自分と他人を比べて、しんどくなってしまう」という悩みは非常に多く寄せられます。

「人と比べなくても大丈夫」とありきたりな助言をしても、その人の心を軽くできるわけではないため、私も「悩みをちゃんと解消するにはどうすべきか」と頭を悩ますことがあります。

インターネットの発達によって、何かにつけて周囲の人と比較しがちな世の中になりました。

例えば、同業他社で同年代の人の休日・収入の違いや、疎遠だった同級生がSNS上に投稿した幸せそうな生活ぶりなど、簡単に情報が目に入るような時代です。

人間には動物の生存競争という本能的な部分が残っており、そもそも、他者と比較し合うことは、生きていくために必要な、生まれつき備わった能力とも言えます。

これだけ情報化が進んだ競争社会であればなおさら、周囲と自分を比べないほうが無理な話なのです。

ですから、「比べてしまうのはある意味仕方ないことだ」と割り切ったほうがよく、無理に「比べないようにしなきゃ」と悩んで自分を追い詰める必要はありません。