“もったいない”は世界を救う

普段はあたりまえに捨てられてしまう野菜の可食部を使った料理
©Macky Kawana

堅苦しいドキュメントでは観ることのない、ふたりの率直なリポートがメインの前半に対し、旅の後半は、食材を救うさまざまなアイデアをもつ人々との出会いから多くの学びを得る。普段はあたりまえに捨てられてしまう野菜の可食部を使った料理をふるまうシェフから、自然の恵みに感謝し「野山が食料庫」だと言いきる82歳のおばちゃんまで、バラエティに富んだ面々から発せられる言葉は、私たちの“当たり前”の食生活に疑問を投げかけるものばかりだ。

一方で、食への考え方が一新する僧侶の話に触れ、新たな解決法に出会い、さらには地産地消の大切さを知ることで、今度は本来の食の楽しみや大切さを再確認することができる。それは、私たち日本人の精神に標準装備されている“もったいない”が、サステナブルな社会をつくる大切な要素となっていることをあらわしている。

作品中に出てくる「廃棄されるはずだった食材でつくる料理」や、「持続可能な未来を明るく照らす革新的なレシピ」、また「今注目の昆虫食」は、きっと食品ロス問題の解決に直結するはず。そして日本人のもったいない精神もまた、世界を救う行動につながるということを、スクリーンのなかの美食体験とともに確信することになるだろう。

食材や、もののひとつひとつにいのちがあり、それを大切にしようという思いが込められている言葉“もったいない”。食べきれるだけの食材を購入すること。それを大切に食べること。自らで考え、行動すること――。世界中からの“もったいない”の逆輸入によって、私たちはいま一度、毎日の生活でできることを考えなければならない。

(予告編)

映画『もったいないキッチン』

シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺他全国で公開中。
オリジナル字幕版・吹き替え版あり。
上映スケジュールの詳細

※もったいないキッチンは、登録商標です。

乙部 アン(おとべ・あん)
フリーエディター/執筆家

新ファッションウェブマガジン「LIV,」女性ファッション誌のフリーエディターをしながら執筆家としても活動、いくつかの連載を掛け持ちする。アメブロやnoteなどのブログでは、大人の女性に役立つファッション・仕事・サステナブル・ライフスタイル・独自の人生哲学を発信。