ゴシップの意外な効果
結論から先に言うと、ワトソンによると、男性が友情を深めるには、「ゴシップ作戦」が有効だということです。「だれとだれがデートしているのか」「職場の人がどんな人物なのか」といった情報型のゴシップを話すことによって、男性は友情を高めることができるのだそうです。
「経理課の○○さんって、○△みたいな男性が好みらしいよ」
「部長って、ああ見えて、高校と大学で体育会系の空手部所属だったんだって」
こういうゴシップをしていれば、男性同士でも、どんどん仲良くなることができますし、友情を感じることもできるのでしょう。
ちなみに、ワトソンによると、女性は、もともとゴシップに頼らなくとも、普通の話をしているだけでお互いに強い友情を感じられるそうです。男性にとってみると、簡単に友情が育める女性はとてもうらやましいですね。
ではなぜ、ゴシップを話していると、仲良くなれるのでしょうか。
その理由は、だれかについてのゴシップを共有するということが、何やら悪いことを一緒にやっているような、“共犯者意識”を高めるから。「秘密の話」を共有することで、お互いに親密になれるのです。
そういえば私にも、学生時代には、先生の悪口やらゴシップなどを話して、クラスメートと仲良くなった、という記憶があります。「担任の○○は、どうみてもカツラだよな」などと友達と面白おかしく語り合っていると、いっぺんに親しくなれてしまうのですから、男というのはまことに不思議な生き物です。
職場の人のうわさ話はマナー違反なのか
よくあるビジネスマナーの本を読むと、「職場の人のうわさ話などは、絶対にしてはなりません!」と注意されていたりはしますが、まあ、それはそれとして(きれいごとはきれいごととして)、たまにはゴシップを話すのも、悪いことではないのではないでしょうか。いや、悪いことかもしれませんが(笑)、関係づくりが苦手な男性たちにとっては必要なことなのです。
天気の話やら、政治や経済の話やら、「どうでもいいようなこと」しか話さないのであれば、「どうでもいいような人間関係」しか築くことはできません。人と親密になりたい場合、他の人のゴシップを話すことも大切なのです。
(参考)Watson, D. C. 2012 "Gender differences in gossip and friendship." Sex Roles ,67, 494-502.