1.業績が同じでも女性のほうが低く評価され、給与も低い

1968年、全く同じ内容のエッセイで、作者を女性の名前にした場合と、男性の名前にしたものを、無作為の人にどちらかを読んでもらい評価をしてもらうという研究が米国で行われました。結果、著者が男性の名前の方がそのエッセイの評価が高くなる、ということが示されました。1968年ならありえるかも……と思う人もいるかもしれません。

ところが、2009年になっても、職場での評価では、業績が同程度にもかかわらず、女性は男性より能力が低く評価され、給与も低く設定される、という米国の研究結果が報告されています。そしてこれは、評価をする側の人が男性であろうと女性であろうと、関係なく起こるというのです。最初の報告から30年経ってもなお、このようなジェンダーバイアスが存在しているということに加え、女性の社会進出の障害となるジェンダーバイアスは、男性だけでなく女性も同様に持っているということがわかります。

2.女性らしい服装や香水が女性の仕事への評価を下げる

TPOをわきまえた服装は重要なことです。しかし、本来、TPOをわきまえることと“女性らしさ”の度合いは関係がありません。ところが、より上位の役職の選考段階で、被評価者が、より女性らしい服装をしていると、仕事に対する評価が下がり、不利益を被ることが明らかにされています。女性らしい女性は、キリッとした男性的な女性に比べて仕事ができない、というジェンダーステレオタイプによるものだと考えられます。

また同様に、管理職選考の際、女性用の香水をつけている人より男性用の香水をつけている女性の方が、評価が高くなることも米国の研究から示されているのです。その他、工学やコンピューター・サイエンスの分野にいる女性リーダーが、高いハイヒールに華やかなワンピースを着ていると、その場にそぐわないと、男女ともから批判を受ける一方、男性の場合には仕事をうまくやって成功しさえすれば良いという見方をされるとも報告されています。

驚くべきことは、どの研究も2000年代に入ってからの研究報告であり、この考えかたは、女性からもある程度支持されていることです。事実、理系研究者として働いていると、これらの問題は身近なところで感じることがあります。