「泊まれる公園」を体験してみる

たとえば、静岡県の沼津に「INN THE PARK」という泊まれる公園があります。森の中にある、宙に浮いた「球体テント」に泊まれるのですが、それがいったいどういうものなのか、泊まった人にしかわかりません。朝は鳥のさえずりや木が揺れる音で目が覚めるのでしょうか。

そんなふうに夏は行動範囲を広げて、よりいろいろなものを見聞きし、経験しておくのがおすすめです。夏休みに家族や友人といっしょに出かけてみるのもいいでしょう。

夏は軽井沢、冬は沖縄など、バカンスをとりながら、旅行先で仕事をすることをワーケーションといいますが、これも仕事にはプラスになります。

そういった季節ごとの体験を、プライベートの予定と合わせて、自分のスケジュール帳に落とし込んでいく。こうやって自分へのアポを優先していきましょう。

成果主義の時代に一番大切なこと

これからは仕事を時間ではなく、成果で計測する時代になるといわれています。より成果主義的な方向にいくし、反対に成果さえ上げていれば、1日3時間しか働かなくてもかまわないという時代になっていきます。

その中で、最も重要なことはスキルを磨いておくこと。スキルを磨くためには、思い切って自分に投資する日を決めて、その日を自分が今まで経験したことのないことを経験するインプット日にします。これを私は「自分R&D」と呼んでいます。

R&Dとは企業における研究開発のこと。R&Dがなければ、社会の新たなニーズに応えていくことはできません。企業が次のステップに進むうえで欠かせないものです。自分R&Dもまた、次のステップに欠かせないものとして、仕事時間の20%はR&Dに振り分けたいところです。

インプットの日と決めた日は仕事をせず、未知の情報を取り入れることに集中します。例えば美術館に行って芸術に触れる、話題になっている場所に行ってみるなど、本業にまったく関係のないジャンルに取り組むことで視野を広げるのです。

これからの変化の激しい時代には、今まで以上に「自分へのアポ」という意識を強める必要が出てくるでしょう。そして、自分の専門分野からいったん離れて、視野を広げるには座学よりも「体験」が効果的です。

テレワークと出社のハイブリッド型勤務の時代だからこそ、こういったこともよりやりやすくなるでしょうね。

ぜひ仕事は効率よく終わらせて、自分の貴重な時間を良質なインプットのために使いましょう。そうすることで、キャリアは複線化し、キャリアの幅は広がっていくのです。

構成=池田純子 写真=iStock.com

小山 龍介(こやま・りゅうすけ)
経営コンサルタント・事業プロデューサー

1975年生まれ、京都大学文学部卒業。グリーンホールディングス株式会社代表。松竹で歌舞伎の新ビジネス立ち上げなどを経て独立。