ワーケーションで広がる連泊の可能性
Withコロナ時代に増えてくるだろう旅行スタイルが、もう一つあります。ワーケーション、つまり宿泊先でテレワークをしながら旅を楽しむスタイルです。
イメージしやすいのは、木曜日にポツンと祝日があるケースでしょうか。従来は金曜日に出社しなければいけないため、木曜の宿泊は困難でした。旅行に行きたければ、その直後の土日で1泊2日の日程にするか、金曜日に有休を取って3連泊という日程になっていたはずです。しかし、テレワークが認められるなら、木曜から遊びに来て、金曜日の日中だけテレワークで出勤して、土日もまた旅を楽しむ日程が可能になります。もちろん通常の土日に1日テレワークを足して、2泊3日にするという楽しみ方もできます。ワーケーションは、有休を取らなくても連泊で旅の可能性を広げることができるスタイルなのです。
観光事業者も、ワーケーションに対応したサービスを充実させることになるでしょう。つながりやすいWi‐fi環境を整備するのはあたりまえ。夫婦やご家族でいらっしゃるお客様のために、お部屋以外でテレワークができる空間も整備しなくてはいけません。周囲がうるさいとビデオ会議ができませんから、静かな空間であることが必須です。
ご家族の場合、お父さんお母さんがテレワークしているあいだにお子さんをお預かりするようなサービスも必要です。すでに「星野リゾート リゾナーレ」では、日中にお子さんが参加できるアクティビティを以前より行っています。そして夜はまたご家族で合流して、コロナ対策を徹底した「新ノーマルビュッフェ」を満喫してもらう。こんな過ごし方ができれば、旅が一層思い出深いものになるのではないでしょうか。
構成=村上 敬 撮影=強田美央
1960年、長野県生まれ。83年慶應義塾大学経済学部卒業、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。91年より現職。いち早くリゾート運営サービスの提供に特化し、「星のや」「界」「リゾナーレ」等のブランドでホテル・リゾート施設を展開している。