定期預金でも普通預金でもどちらでもいい
「でも定期預金に預けてしまうと、好きな時に引き出せないじゃない?」と思う人がいるかもしれません。けれどもそれは、解約できないのではなく、中途解約すれば金利が普通預金金利になるというだけのことです。今の時代、定期預金と普通預金の金利差はほとんどありません。具体的に言えばメガバンクだと、定期預金の金利は0.002%、普通預金の金利は0.001%です。すなわち100万円預けたとしても定期預金の金利は20円、普通預金の金利は10円ですから、その差は10円しかありません。したがって、預金であれば定期預金であれ、普通預金であれ、別にどちらでもかまわないのです。要するに「利便性」ということを考えれば、持っているお金は全部投資や保険にせず、預金で持っていたほうが良いのです。
でも、ちょっと詳しい人の中には「預金なんてほとんど利息がつかないから損だ。これからインフレになったら目減りしてしまう」という人もいるでしょう。これは特に金融機関の人たちが投資を勧誘するセールストークとしてもよく使われています。ところが実際に調べてみると必ずしもそういうわけではないのです。
「インフレになったら目減りする」は本当か
定期預金の金利と物価上昇率の推移を過去70年近くにわたって調べてみると、面白い結果が出てきました。1951年末をスタート地点とし、その時に100円を1年定期預金に預け、2019年12月まで68年にわたって預けっぱなしにしておくと複利計算による元利合計金額は1106円になります。ところが同じ期間の消費者物価上昇率を見てみると1951年末を100として指数化した場合、同じ2019年12月末の指数は695です。なんと定期預金が物価の上昇率を1.6倍も上回っているのです。
でもこれはちょっと考えてみればすぐにわかります。物価が上昇する理由は二つあります。一つは原油価格上昇等のように製品を作るための原材料価格が上がることです。もう一つは景気が拡大してモノに対する需要が増える場合です。需要が増える=モノが売れるということになれば企業はこぞって設備投資をして生産力を増強しようとします。それには当然お金が必要ですから今度は世の中で資金需要が増えてきます。金利は需給の原則にしたがって上昇することになります。つまり多少のギャップや時期的なズレはあったとしても物価上昇=金利上昇と考えるのが自然です。したがって、預金にしていたからといって大変なことになるわけではないのです。
ただし、現金のまま置いておいたのでは駄目です。前述の例で見ても現金のままだと100円は100円のままですから大きく目減りするということになりますから、少なくとも預金にはしておく必要があります。このように考えると貯蓄が大切な理由の2つ目が出てきます。
そう、2.「預金は案外悪くない」のです。