数万人の投資家の相談に乗ってきた経済コラムニストの大江英樹さんは、「とにかく投資をはじめよう」という最近の風潮に警鐘を鳴らします。今は投資よりむしろ貯蓄を見直しておくべき理由とは。
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※写真はイメージです(写真=iStock.com/Chainarong Prasertthai)

アフターコロナの資産運用は「投資」よりも「貯蓄」?

今世紀に入った頃から「貯蓄から投資」へというフレーズを良く聞くようになりました。そんな中、この見出しだけ見ると、何だか時代に逆行しているように思えるかもしれません。でも最初にお断りしておきますが、私は「投資は駄目」だとか、「投資なんかしないほうが良い」ということを言うつもりは全くありません。むしろ逆で、少しずつでも投資はしておいたほうが良いと考えていますし、私自身の資産運用でも8割ぐらいは株式で運用しています。

ただ、最近の風潮、「とにかくよく分からなくても良いからまずは投資を始めよう」という風潮についてはとても違和感を持っています。むしろ今回のコロナ禍を経験して感じることは、投資を考えることと同じぐらい貯蓄も大切ではないかということです。

投資と同じくらい貯蓄をしっかり考えておくべきだという理由は4つあります。まず1つ目ですが、1.「預金は目的がなくても、貯めておきさえすれば使い道は後で自由に決められる」ということです。実はこれ、預金の最大のメリットなのです。保険は何かあった時には助かりますが、何もなければ払った保険料は無駄になります。投資は短期間では価格の変動がありますから、たまたまお金が必要な時に株価が大きく下がっていたとしたら困ります。ところが預金は、ほとんど利息はつかないものの、いつでも好きな時に引き出して使うことができます。さらにある程度貯まってきたら、そこから少しずつ投資にお金を回していくこともできます。つまり非常に汎用性が高いのです。